日本の大都市には住宅が無い。
それは日本のそれなりに栄えた地域に住んでいれば
結構すぐに気がつくことで、
よく人は「こんなところに人が住めるのか?」と口にする。
確かに都市はうるさいし、空気も汚れているだろうし、
そう言ってしまうのも解るのですが、
どこか疑問が残る。
だって、単純に考えて都会に住んだ方が便利じゃないですか。
何気なく手に取った本でしたが、
そんな疑問を解決してくれました。
農民由来の日本人と、市民由来の西欧人との生活に対する潜在意識の差。
戦後の日本人に植えつけられてしまった「占有」の意識。
そういった事が、日本人の「賃貸を嫌う」傾向を助長しているのだと。
そして、賃貸に住まないということは、持ち家を構えることになり、
持ち家を構えることになれば、今度は所得が足りなくなり、
結局はあれだけ臨んだ一軒家も、土地の安い郊外になってしまう。
そして通勤ラッシュが生まれ、サラリーマンは長い通勤時間に悩み
会社の周りでだらだらと飲み歩き、ラッシュを避けて帰る。
日本人の「賃貸」へのイメージが
ここまで連鎖的に現状を作っていたとは目からうろこでした。
もちろん持ち家を嫌う筆者の偏向的な意見も
多々盛り込んであるとは思われますが、
納得しない理由がありませんでした。
最近建設業界では「ニ段階供給方式」という提案が
挙がってきているようですが、
簡単に言えば「住民が参加し、計画する賃貸」であり、
この考え方はまさにこの、
「持ち家志向」と「所得低迷」と「土地高騰」の食い違いの
解決に働くうってつけの案なのではないでしょうか。
可変部分を設けることによる管理の難しさや
建設費が割高になることなど、様々な問題は残りますが、
このニ段階供給の住宅を公営で都会に作ってゆくことで
空間の利用効率を高めながらも
日本人の持ち家意識も尊重してゆくことが
可能になると思います。
問題点も多くあまり普及していない生産方式ですが
こういった日本で働く人たちの問題を根本から解決するために
研究を推し進めていくべきではないかと思います。
都市の快適住居学―「借住まい」の楽しみ (PHP文庫)/宮脇 檀

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