当初はシナリオライター志望であったと言われる
レム・コールハースの著作ともあり
難解な表現や行ったり来たりする時系列に苦しみながらも
なんとか読み切るに至りました。
建築を学ぶものとして、
まだまだ何も知らないということを痛感しました。
舞台はマンハッタン。
その島はグリッドにより等面積の敷地に区切られ
人間の欲望を建築という形で具現化し、それを満たそうという
いわば実験室のような形で開発されだした。
それは今でいえば狂気じみているとも思われるであろう
遊園地から始まり、
リゾート地へ、そしてタワー、摩天楼へと、
当時のマンハッタン、いやニューヨークを生きる人々の
欲求のままに乱立された建築の姿は
まるでSFやファンタジーの世界のように感じられます。
こんな物が存在したのか、
こんな構想があっていいのかと、
驚かされてばかりの読書でした。
中でも気に入ったのは
ハーヴィー・ワイリー・コーベットの
「きわめて近代化されたヴェネツィア」という構想でした。
各グリッドの群島それぞれにそびえ立つ摩天楼の
中腹に窪みを作り、そこを歩道とし、
あらゆる摩天楼から摩天楼へとその歩道をつなぎ合わせ
その下はすべて大きな車道とすることで、
日光にきらめきながら車道を走る車の流れは
さながらヴェネツィアの河の流れのようになる、
といった文字通りの「近代化されたヴェネツィア」という構想でした。
いやー単純にカッコイイですよね。
決して不変物ではない建築物を
唯一の歩道にしてしまうという点では
社会的にはいささか問題はあるかもしれませんが
まさに狂気的なまでのマンハッタンの発展には
相応しい構想だったんじゃないかなと個人的には感じます。
私は設計課題などに取り組む際は
かなり現実主義的な観点から取り組むので、
どうしてもこうした非合理性・非道徳性などからは
目をそむけがちになるのですが、
そういった点で、逆にこの本は
自分には絶対に生まれないような発想ばかりを
与えてくれて魅力的でした。
一目見てもそりゃダメだろ!と思うようなことが
まかり通っていたという事実を目の前にして
衝撃を受けるとともに興奮を覚えました。
私の専門であるう建築書籍としても、
またSF的ジャンルの書籍としても
非常に面白い一冊でした。
建築を志している方も、
またそうでもないという方も、
興味本位で読んでみると
たちまち引きこまれると思います。
この本に記されたマンハッタンの軌跡を
ぜひヴィジュアル的に体験してみたいものです。
錯乱のニューヨーク (ちくま学芸文庫)/レム コールハース

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