『アイアン・マン』(原題:The Iron Man: The Musical by Pete Townshend) 

リリース 1989年6月27日

録音 1986年 - 1989年

プロデュース ピート・タウンゼント

【収録曲】

1.アイ・ウォント・ラン・エニイモア (I Won't Run Any More) – 4:51

 ボーカル:ピート・タウンゼント デボラ・コンウェイ

2.オーバー・ザ・トップ (Over the Top) – 3:31 

 ボーカル:ジョン・リー・フッカー

3.マン・マシーンズ (Man Machines) – 0:42

 ボーカル:サイモン・タウンゼント

4.ディグ (Dig) – 4:07 演奏:ザ・フー

5.フレンド・イズ・ア・フレンド (A Friend Is a Friend) – 4:44

 ボーカル:ピート・タウンゼント

6.アイ・イート・ヘビー・メタル (I Eat Heavy Metal) – 4:01

 ボーカル:ジョン・リー・フッカー

7.オール・シャル・ビー・ウェル (All Shall Be Well) – 4:02

 ボーカル:ピート・タウンゼント デボラ・コンウェイ チャイナ

8.ワズ・ゼア・ライフ (Was There Life) – 4:19

 ボーカル:ピート・タウンゼント

9.ファースト・フード (Fast Food) – 4:26

 ボーカル:ニーナ・シモン

10.フール・セッズ... (A Fool Says...) – 2:51

 ボーカル:ピート・タウンゼント

11.ファイアー (Fire) (Arthur Brown, Vincent Crane, Mike Finesilver, Peter Ker) – 3:47

 演奏:ザ・フー

12.ニュー・ライフ/リプリーズ (New Life/Reprise) – 6:00

 ボーカル:チャイナ ピート・タウンゼント ニコラ・エマニュエル 

【キャスト】

ホガース少年 (Hogarth) - ピート・タウンゼント

ビクセン (The Vixen) - デボラ・コンウェイ

アイアン・マン (The Iron Man) - ジョン・リー・フッカー

スペース・ドラゴン (The Space Dragon) - ニーナ・シモン

ホガースの父 (Hogarth's Father) - ロジャー・ダルトリー

カラス (The Crow) - チャイナ (Chyna)

カケス (The Jay) - ニコラ・イマニュエル

カエル (The Frog) - ビリー・ニコルズ

フクロウ (The Owl) - サイモン・タウンゼント

アナグマ (The Badger) - クリーヴランド・ワトキス

【作品概要】

イギリス人の詩人であり児童文学者のテッド・ヒューズの小説『アイアン・マン 鉄の巨人 (The Iron Man)』をピート・タウンゼントが翻案し、プロデュースと大部分の作詞作曲と演奏をし、ミュージカルに仕立てたアルバムである。

登場人物は、タウンゼントの他、それぞれに異なったボーカリストが担当しており、タウンゼントのソロ・アルバムとして異色の作品と言えるだろう。

1993年には、ミュージカルとして、ロンドンのヤング・ヴィク劇場で上演され、1999年には、ワーナー・ブラザースが、さらに翻案を加えたアニメーションとして、『アイアン・ジャイアント』を制作。タウンゼントは、制作総指揮をつとめている。

【楽曲解説】

「アイ・ウォント・ラン・エニイモア」

アルバムのテーマ曲ともいうべき、爽やかでノリのよいナンバー。「もう、走れない」とは、何ともピートらしいメッセージだ。

「オーバー・ザ・トップ」

ベテランのブルース・シンガー、ジョン・リー・フッカーにボーカルを託しており、フッカーの役どころは、主人公のアイアンマンである。

「マン・マシーンズ」

ピートの弟、サイモンがボーカルを担当。ここまでの展開を見ても、ミュージカルならではで、同じコンセプト・アルバムでも、前作『ホワイト・シティ』とは、かなり趣きが異なる。

「ディグ」

すでに死去していた、キース・ムーンを除く三人のザ・フーのメンバーにより演奏されている。ロックなパートから、ウォームなコーラスが展開する辺りは、やはりタウンゼント。

「フレンド・イズ・ア・フレンド」

タイトルからして、やたらに肯定的なものだが、スケールの大きいコーラスは、胸を熱くするものがある。

「アイ・イート・ヘビー・メタル」

ヘビーメタルとは、言葉そのままと、ロックの形態をかけてのものだろうか。

「オール・シャル・ビー・ウェル」

黒人と思われる女性シンガーが加わっているせいか、ゴスペルを思わせるナンバー。

「ワズ・ゼア・ライフ」

タウンゼントには珍しい、ジャジーなナンバー。ピアノやパーカッションなどの使い方も、ザ・フーだけでなく、ソロ作品でもみられなかったものだ。

「ファースト・フード」

やはり、ベテランのブルース・ソウルシンガーのニーナ・シモンがボーカルを担当したファンキーなナンバー。半ばで聴けるラップなど、とにかく彼女の歌唱が見事だ。

「フール・セッズ...」

リンクとなる小品だが、タウンゼントのガットギターは、一聴の価値ありだ。

「ファイアー」

ザ・フーによる演奏であるが、この曲のみ、コンポーザーはタウンゼントではない。ハードなロックナンバーで、ダルトリーのシャウトとリードを取るかの様なエントウイッスルのベースが聴きもの。

「ニュー・ライフ/リプリーズ」

エンディング・テーマであるが、まるでミュージカルかサウンドトラックの様なメロディーには驚かされる。