『タルカス 』(原題:Tarkus)

リリース 1971年5月

録音 1971年1月-4月

プロデュース グレッグ・レイク

【収録曲】

SIDE A

タルカス - "Tarkus"

1.噴火 - "Eruption" (エマーソン)

2.ストーンズ・オブ・イヤーズ - "Stones Of Years" (エマーソン レイク)

3.アイコノクラスト

 - "Iconoclast" (エマーソン)

4.ミサ聖祭 - "Mass" (エマーソン レイク)

5.マンティコア - "Manticore" (エマーソン)

6.戦場 - "Battlefield" (レイク)

7.アクアタルカス - "Aquatarkus" (エマーソン)

SIDE B

1.ジェレミー・ベンダー

 - "Jeremy Bender" (エマーソン/レイク)

2.ビッチズ・クリスタル - "Bitches Crystal" (エマーソン/レイク)

3.ジ・オンリー・ウェイ - "The Only Way (Hymn)" (エマーソン/レイク)

4.限りなき宇宙の果てに - "Infinite Space (Conclusion)" (エマーソン/パーマー)

5.タイム・アンド・プレイス - "A Time And A Place" (エマーソン/レイク/パーマー)

6.アー・ユー・レディ・エディ - "Are You Ready Eddy?" (エマーソン レイク パーマー)

作詞レイク、作曲はカッコ内

【パーソネル】

グレッグ・レイク - ボーカル ベース ギター

キース・エマーソン  - キーボード

カール・パーマー - ドラムス

【作品概要】

本作は、ELPの代表作のひとつに数えられているが、デビューアルバムから半年あまりでリリースされており、いかに当時の彼等の創作力と演奏力が旺盛だったかが想像できる。

アルバムタイトルのタルカスとは、レイクの友人ウィリアム・ニールにより、アルバム・ジャケットに描かれている、戦車のキャタピラの様な半身とアルマジロの様な半身を持つ、エマーソンが空想した怪物である。

レコードのA面すべてを使って収められた表題曲は、怪物タルカスが火山の中から現れ、他の怪物と戦い、地上を破壊し海に帰っていくというストーリーの組曲である。

エマーソンは、「タルカスと突然閃いた言葉で、特に意味は無く、辞書を調べても存在しなかった」と述べている。

タルカスの最後の戦い相手として登場するマンティコアは、人の顔とライオンの胴と蠍の尾を持つ怪物で、後にELPが設立するレーベル、マンティコア・レコードの名称となり、ロゴとしても使われた。

組曲の作詞をすることになるレイクは、当初この組曲のコンセプトに興味を示さず、エマーソンに、ソロでやる様に進言している。

一転してレコードB面は、小品集とも言える内容で、ポップなロックナンバーが並んでいる。こういった手法は、当時の大物プログレシップロックのバンドはとっておらず、音楽を音楽と割り切った、EL&Pならではのものであるが、演奏自体は決して丸くならず、彼等の我を押し通すかの様なサウンドである。

【楽曲解説】

“噴火”

タルカスの誕生を描いた物語の序章であり、コンセプトの発案者であるエマーソンの曲。8分の10拍手のリズムを軸に、オルガン、ベース、ドラムスがユニゾンとポリリズムを組み合わせた、ハイテンポでヘビーなインストだ。

“ストーンズ・オブ・イヤーズ”

ヴォーカル・ナンバーで、マイナー調のメロディーに、難解な歌詞が歌われ、間奏にはまた密度の高い演奏が。

"アイコノクラスト”

“噴火”をさらにアグレッシブに展開させた演奏で、タイトルは、聖像破壊者を意味する。

"ミサ聖祭"

チェレステをバックに、レイクが聖歌風のヴォーカルを朗唱する。スタッカートが特徴的なオルガンとドラムスのかけ合い、さらにシンセやエレクトリック・ギターのリフが重なる。

〝マンティコア"

イラストではライオンの頭と体にサソリの尾がついた、タルカスと一騎打ちする怪獣として描かれている。 再び〝噴火”の変奏がされる。

細かなフレーズや全体の構成、音色の面で違いがあり、ELPの演奏の柔軟性と音の多彩さが示される。

〝戦場”

焦土と化した世界を目の当あたりにした語り部の哀切なる心情を表現したと思しきボーカル・ナンバー。

 "アクアタルカス〟

新たな火種の勃発を予感させる、またも

や〝噴火"の変奏風インストだが、同時に組曲が週末へと向かい、ロックシンフォニーは、レイクのボーカルとともに大団円を迎える。

“ジェレミー・ベンター”

ホンキートンク調は、アップライト・ピアノによる演奏。さらに弦に画鋲を乗せて音がびびるようにセッティングしてある。こうしたノヴェルティ・ソング調の曲でも、やはり三人の演奏は各自を主張している。

“ビッチズ・クリスタル” 

ピアノはノスタルジックだが、レイクのボーカルはよりロック調。やはり、三人の演奏のテンションは変わらずだ。

“ジ・オンリーウェイ”

冒頭にパイプ・オルガンの独奏でバッハの「トッカータとフーガヘ長調(BWV 540)」のトッカータ、中間部で「平均律クラヴィーア曲集」から「BWV 851 前奏曲 - 3声のフーガ ニ短調」が演奏される。

マークス教会のオルガンが使われている。レイクのボーカルはゴスペルだが、展開とともにムードを変えている。

“限りなき宇宙の果てに”

ピアノの低音部を強調したインストゥルメンタル。

“タイム・アンド・プレイス” 

ヘビーなオルガンとレイクのシャウト。

“アーユー・レディ・エディ”

アルバムのエンジニアのエディ・オフォードをからかったロックン・ロール。タイトルは、メンバーがスタジオで確認の為、度々発していた言葉である。ジェリー・リー・ルイス風のヴォーカルとピアノだが、より重圧に演奏されている。