いつごろからか覚えていないが、

様々な作品で

「言葉にしなければ伝わらない」

そんな台詞を見聞きするようになった。

 

自分の年齢のせいかも知れないが、

このことは、甚だ違和感があるのを払拭できない。

 

私の年代であれば、

ヒーロー像というものの多くは、無口であったと思っている。

人生劇場の鶴田浩二もそうであったし、

高倉健もそういうひとであった。

国内だけでなく、ハリウッドでも、

シェーンは口数少ない男であったし、

ジョン・ウェインも口数の少ない男を演じていた。

 

私の心の師であるカサブランカのボギーも、

決して饒舌な男ではなく、

無口だからこそ、口を開いて出てくる台詞はかっこよかった。

 

国内に戻って、大阪の万博の年、

サッポロビールが打ち出したコマーシャルのコピーは、

三船敏郎の

「漢は黙ってサッポロビール」であった。

言葉にしなければ伝わらない。。。

はたしてそうだろうか。

 

人が本当に心に刻んでいる気持ち。

それは無口であるからこそ価値があるとしか考えられない。

人の心というものは、言葉にしなければ、

本当に伝わらないのだろうか?

やはり違和感がある。

 

幾度も幾度も飲み込んでいたからこそ、

やっと口にした言葉に魂が宿る気がする。