肺炎は、がん、心臓病、脳卒中に次いで、我が国の死亡原因で4番目に多い。2010年には約12万人が亡くなっており、このうち65歳以上の高齢者が97%を占める。高齢者の肺炎の約6割が、誤って気管にのみ込むことによる
肺炎の症状は、発熱やせき、息苦しさなどだ。ところが、感覚が鈍くなっている高齢者は自覚症状が少なく、発見が遅れがちという。
東京都保健医療公社・東部地域病院(東京・葛飾区)内科部長の佐藤
中でも注意が必要なのは、寝ている時など気づかないうちに感染し、肺炎を起こす「
予防には、日ごろから口の中を清潔に保つ「
口腔ケアの基本は歯磨きだ。日本歯科大(東京・千代田区)口腔介護・リハビリテーションセンター長の菊谷武さんによると、食後と就寝前に、歯ブラシや歯間ブラシで、歯や隙間に付着している細菌の塊を落とすことが大切だ。口に含んで吐き出す洗口液は、細菌の付着は防げるが、汚れを落とすことはできない。歯磨き剤は必ずしも必要ではなく、量も少なめで良い。
入れ歯を使用している場合、入れ歯洗浄剤は過信せず、1日1回は入れ歯を外し、ブラシを使って食べかすを落とし、水で洗い流す。舌や頬、歯茎は、粘膜を傷つけないようスポンジ製などのブラシを使い、口の中全体をきれいにする。
介護が必要な高齢者は、ブラシで落とした汚れを、誤嚥してしまう恐れがある。口腔用のウエットティッシュでふき取ったり、吸引ブラシで吸引したりすることが必要だ。菊谷さんは「口の中で落とした汚れは、確実に口の外に出すことが重要です」と話す。(野村昌玄)