毎日新聞オンラインニユースの7月2日記事より抜粋


津波で破壊された岩手県陸前高田市で、日本在住の難民たちが約2ヵ月間、ボランティア活動を続けている


難民と被災者が助け合う経験は6月30日、スイスのジュネーブで開かれた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と難民支援非政府組織(NGO)の年次協議会でも報告され、共感を呼んだ


「政治難民も津波難民も、多くをなくした境遇は一緒です。被災者の気持ちを一番理解できるのは、私たちかもしれない」


NPO難民支援協会が開いた報告会で、ミャンマー・カチン続出身のマリップ・センブさん(47)は熱い気持ちを語った


ミャンマーの学生だった91年、反政府デモに参加


身の危険を感じて翌年来日し、難民認定を受けた


「津波が起きて、いても立ってもいられなかった。私たちは自分の国に住めず、日本に受け入れてもらった。お金も力もないけど、感謝の気持ちだけはある。今がそれを表すチャンスだと思った」


相談を受けた同協会は、4月28日からボランティアを開始。東京からバスを出し、同市の割り当て区域で、がれき掃除のほか荷物運びやリンゴ畑の片付けなどを手伝う


連日延べ250人が参加し、うち難民は約45人


出身国はミャンマー、トルコ、ウガンダ、イラン、イラクなど


マリップさん自身は、4人の育児と開業間もないレストラン経営で、まだ後方支援係だが、雪が降る11月まで続けるつもりだ


被災地では「どうして難民がいるの」と不思議がる日本人ボランティアに、心情を説明して感激されるといった出会いもある


報告会で同協会常任理事の石井宏明さん(51)は「多くの難民から『日本人を助けたい』と言われ、正直驚いた。難民が日本社会の一員という意識を強く持っていて、社会の重荷ではなく貢献できる人材であることを示すよい機会だ」と説明


参加者から「国外に逃げた外国人も多い中で、現地に駆け付けた難民の行動は、よいメッセージになる」との意見が出た。【ジュネーブ伊藤智永】