
「あの~中トロ、頼んでいいですか~?」に、
「あ~! 問題ない!」と、おやじさん。
小ぶりのすし飯に、ちょうどいいネタ。
「うまいよぉ~! どうだぁ~!」と、出してくれた。
ちょっと小腹が空いて、ラーメンでもと町へ出た。
ラーメン屋さんへ向かう途中、目に入ったお寿司屋さん。
「寿司、食うか~」と、お寿司に目のない夫。
「2~3個、つまめばいいよね~」と、私。
初めて入るお寿司屋さん。
10人くらいのカウンターに、ちょっとした座敷の小さなお店。
聞けば、店主は73才になるという。
しわひとつないピッカピカの顔に、満面の笑み。
きらきらした丸い瞳に、威勢のいい声。
自分の店を出して40年。
昔は、何人もの従業員を雇い、彼らの寮も持っていたという。
二人の娘さんが嫁いでからは、奥さんと二人で、商売を続けている。
夜もだいぶ遅いというのに、常連さんと思われるお客さんで、大賑わいだ。
「えんがわ、お願いします」と、夫の注文に、
「あいよぉ~! にっこり!」と言って、にっこりするおやじさん。
そして「うまいよぉ~! どうだぁ~!」。
「おいしい~!」と、ほおばる私たちに、
「あたぼうよぉ~!」の声。
「江戸っ子、下町生まれですか?」と、思わず聞くと、
「いや。秋田なんだけどね。あはは」と、笑う。
2~3個だけつまむつもりが、
おやじさんの声に誘われて、あれよあれよと、
普通に、しっかり食べてしまった!
味見だけと、ちょっぴり舐めたくらいの日本酒も効いてか、
お店を出る頃には、いい気分。
身体もぽっかぽか。気持ちも、いい!
あー、いい!
威勢がいい!って、いい~!

【声。くったくのない。生きざまが、垣間見えるよう。すっと。まっすぐ。その気持ちよさ】