
平日の昼間の電車の中。
盲導犬を連れた女性が乗ってきた。
年の頃、30歳くらいの髪の長い女性。
薄いクリーム色した大きなレトリバーが、車内の床に、座り込む。
犬の近くのドアのところにいた、小学校低学年くらいの男の子。
ちらっと犬を見たあとで、
「電車に、犬なんか乗っていいのかなぁ~!」
誰にいうでもなく、ドアの窓から外を見ながら、言った。
まわりに充分聞こえるほどの、大きな声。
一瞬、車内が静まったかのように感じた。
そして、その瞬間、
「あ~、いいのよ! お仕事してる犬なんだから~!」
自分の声に、自分で驚いた。
つい・・・口をついて出た私の言葉。
私も誰に言うでもなく、車内に視線を泳がせながら、言っていた。
少し、武田鉄也さん演じる金八先生の感じが、入っていたように思えて、
ちょっぴりムキになっていたように感じて、
なんとも気恥ずかしくなって、顔が少し、ほてっていくのがわかる。
その男の子は、何も答えず、窓の外を眺めたまま。
私の視線の先に、小学生らしき女の子が二人。
一人の女の子が、私の言葉を聞いて、
「お仕事してる犬なんだって」と、
もう一人の女の子に言った。
すると、もう一人の女の子が、
大きくうなづいて、言った。
「うん。電車に乗ってもいいんだよね!」
その一言に、なんだか救われた気がして、
思わず、その女の子に、微笑みかけた。
ざわめきを取り戻した車内で、
窓から外の景色を眺めながら、
そっと心でつぶやいた。
ありがとう!
私の小さなヒーロー!

【ありがとう。勇気をもらえる。そのひとことに。感じる愛。ありがとう】