
「名古屋にいこぉー」との、夫のひとことで、
車に乗り込み、あれよあれよと、
伊勢まで、足をのばすことになった。
濃い緑の山々、青い海、抜けるような空。
まさに風光明媚とは、こんな景色だろうと、
目を見張るばかり。
夕日にも、心奪われる。

初めての伊勢。
宿の夕食時に、
ご挨拶に来てくださった総支配人さんが、
伊勢神宮のお参りについて、教えてくださる。
「夫婦岩でお参りして身体を清めて、
外宮に参って、内宮へ・・・」
想像がつかない。
「どんだけ広いんだろう・・・」と。
翌日、まずは、夫婦岩。

そして、外宮へ、内宮へ。
それぞれ距離があり、町全体が伊勢神宮。
鳥居から入るごとに、空気が変わるのを感じる。
鳥居の前で一礼し、また次の鳥居の前で一礼、
また次の鳥居でも。
二礼二拍手一礼で参拝。
祈願お祓いもしていただいて、
深々と頭を下げる。
そして鳥居をくぐり、また一礼、
鳥居をくぐり、また一礼。
ただ、頭を下げる。
頭を下げるたびに、肩の力が、
抜けていく気がする。
頭を下げるたびに、
余計な考えが、消えていく気がする。
頭を下げるたびに、
おごった気持ちが、溶けて流れていく気がする。
帰りの車の窓から、思いきり風を吸い込む。
身体中に広がる、深い緑の香り。
ふっと息を吐いた目に、空が、海が、川が、
きらきらと、まぶしく映る。
なんだか、久しぶりに、呼吸したような気がした。

【無。頭を下げて。空。呼吸をして。自然の中に溶け込む。ただ、ひとつに。】



