すごい傾聴 (小倉 広 ダイヤモンド社 2024年3月)
以前から注目していた、小倉 広さんの新刊。
小倉さんといえば、以前から
「アルフレッド アドラー 人生に革命が起きる100の言葉」
https://ameblo.jp/rich22sz0ki/entry-12410460192.html
「アルフレッド アドラー 一瞬で自分が変わる100の言葉」
https://ameblo.jp/rich22sz0ki/entry-12650079678.html
「コーチングよりも大切なカウンセリングの技術」
https://ameblo.jp/rich22sz0ki/entry-12729176904.html?frm=theme
などで、かねてからそのアドラー-理論に根ざした論理展開に共感していました。
今回の新刊も、最初に 「スベる傾聴」 と 「すごい傾聴」 のそれぞれの有様をマンガで紹介。
それをもとに、どこが 『すごい』 ポイントなのか、を論理的に解説しています。なかでも・・
○どの様な「人格」で聴くか?(第2章P87)
嘘は直ぐにバレるのです。
あなたが“いい上司”のふりをすれば、必ず相手も“いい部下”のふりをします。
嘘と嘘の関係の中で、傾聴などできるはずはありません。
「僕はこんなに普段通りだよ。君だって自然体でいいんだよ。お互いに無理して“いい人”ぶるのはやめようぜ。
僕も君も、所詮は普通の人間じゃないか」
この姿勢こそが、「すごい傾聴」の土台となるのです。
・・・“いい人ぶる”・・ およそ殆どの組織内で見られるパターンかも。
「自然体」 でいることの大切さを、改めて感じました。
○どんな「自己開示」をするか?(第2章P106)
相手だけに「気持ち」を自己開示してもらうのではなく、こちらも自分の「気持ち」を自己開示しなければならないのです。
(中略)相手の話を聞いて、「今ここ」の自分の気持ちを開示することが大事です。(中略)つまり、話し手に感情移入し、追体験しながら、自分の中に湧き起こってきた怒り、悲しみ、恐れなどの「気持ち=感情」を伝える。それこそが、本来の自己開示なのです。
『自己開示』 。自分の講習の中でも今一つ上手く解説していないと思っていましたが、この説明で明確になりました。
聴き手こそが、積極的に自分の “気持ち” を吐露すべきと、改めて思いました。
○「レポート」を「エピソード」に転換する(第3章P218)
問題なのは、この「レポート」を語ることで、論理的「左脳」が活性化し、感情的「右脳」が冷めていってしまうということです。(中略)聞き手は「論理的左脳」から「感情的右脳」に切替え手もらうように促すことによって、すでに語られた「レポート」を、生き生きとした「エピソード」に転換してもらう必要があるのです。(中略)「傾聴」とは、話し手の「感情」に共感することだからです。
この本のメインポイント。
“感情を尋ねましょう“ もコーチング講座の中で頻繁に出てくるポイント。
ですが、手法としてはただ単に質問 ”その時、どんな気持ちでしたか?“
これに対し、相手は単に “嬉しかった、ですね・・・”
ここでは 『ありありとその場面を共有する。その時の各セリフを回想する』ことに重点を置く。
押しつけず、決めつけず、謙虚に・・・ そうして、相手の感情・信念・価値観に共感する。そこから、“クライアントの気付き“につながる。
ここまで来て、『感情を扱う』 ことの核心に迫り、そのセッションの真価が発揮される瞬間になる。
これまでのセッションの中で、ここまで意識してエピソードを扱うことはなかったと思います。
これから、是非意識して使っていこうと思いました。
アドラー心理学で言う 『早期回想分析』 とのことです。
◎最後に そっとつぶやく(第3章P296)
・・・「語り手にとって有益だと推測される情報提供や自己開示」 を 「小さな声」 で 「ひとりごと」 のように語るのです。(中略)二人の間に言葉をぶら下げておく。相手が持って帰ってもよし。置き去りにしてもよし。
自己情報の開示・情報提供の具体的な方法として新鮮でした。このくらいの “控え目さ” が、我が事を語る際にはちょうどよいのではないか と感じました。
早速現在の講習に取り入れて活用すると同時に、自分自身がこうした 『傾聴』 をより効果的に実践できるよう、訓練を重ねていこうと思います。