『癌(がん)』
の宣告を受け、病室を出た夫と私。
おおよそをかいつまむと
夫の診断は
「下咽頭扁平上皮がん」
気道と食道が分かれるところの
食道側の入口の部分から食道にかけて
がんが広がっている。
病巣は上皮内のみで浅く、
ステージI〜II相当だが、幅が広いため、
手術で取り切るのは難しく、
今後は放射線治療と抗がん剤投与との併用での
機能温存治療で進めて行くとのことでした。
かくして昨日までは
なんてことない平凡だった私たち家族は、
この時をもって
『がん患者とその家族』
になりました。
病院を後にした私たちは、
そのままタクシーに乗るも、
いろいろな意味でグッタリしていた私は
夫にも何と声を掛けたらいいのかわからず、
「…だって。」
出てきてのは、そんな言葉でした。
そのまま夫はまた仕事に戻り、
私は家に帰り晩御飯の支度をする。
がんと宣告されたって、
仕事も家事もしなければならない
それが現実。
それが生きていくということなのだと
思いました。
つづく
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