『ママって呼ばれてる先輩』のこと。 | りさごと。

『ママって呼ばれてる先輩』のこと。

こんにちは。


昨日、仕事が終わった後、先輩と同期と3人で控え室で話してたとき。


「りさ、何で12月いっぱいで辞めるとね汗


って先輩からふいに聞かれた。


あんまりにも突然すぎて、食べていたケーキをこぼしそうになった。

ただでさえフォークもお皿もなくて、セロファン越しに手掴みで食べてるのに。


その場には同期もいるのに、そして、まず同期に何て言おうか頭を抱えてて。

うんうん唸ってたんだけど、それは突然訪れた。


決して責めるとか、そういう感じではなくて

心配してるみたいな聞き方だった。何でまた…って。


てっきり、無責任だとか今時の新人は根性がないとか

そういうこと言われるんだろうって思ってたので、ちょっとびっくりして…

でも、いい機会かもなっても思って…聞いてくれてちょっと救われた。

自分では多分言い出しにくいし。

影で色々言われるよりは、聞いてくれた方が優しい。


りさが入った時から、みんなにママって呼ばれてるその先輩は

ずっと心配してたのよ、って表情で言いにくい話をばっさり切り出した。

聞き方はド直球だったけど、全然やらしくなく、嫌味でもなく。

むしろ優しささえ感じたのは

きっとママ先輩が本当に心配して見ていてくれたからかもしれない。


上手くはいえないけど、お世辞とか社交辞令とか、興味本位とかじゃなくって、

そのまま言葉と表情通り受け取ってよさそうだった。


うちのお母さんよりも5つも6つも年上で、

いつもスタッフ全員のことをあったかい目で見てくれてた。


新人で一番初めに仕事を教えてもらったのもママ先輩で


「さあ。この時はどうする?」


「見て聞いて感じて!何でも実践よ。やってみなさい。」


「口腔外科では珍しい処置だよ。一年生は集まりなさ-い!」


いつもどーんとしてて。見た目も柔らかで。


「なーんしよっとねー!!!そんなんじゃだめやろ!」


怒る時も、怒るっていうよりも叱るって感じだったし、

怒り方もお尻を叩かれたり、きんきんきーんって怒鳴られたり

かと思ったら


「さっきはいっぱい叩かれて痛かったろ?」


その後のフォローも全部、その名の通り「ママ」だった。


その場に居辛そうに肩をすくめて様子を伺っている同期も、

既に何もかもを知っている様子だった。


話してもいいのかな…。


一番可哀相なのは付き合わされる同期だって気になったけど、

話すまで帰さないわよってママ先輩の目からは逃げられそうになかった。


ええい、話してしまえ!みんな知ってるんだし。って思って

ゆっくりだけど、自分が思っていることを話してみた。


「元々あんまり仕事も出来なくて…他の2年目と一緒に成長できなくて…

それなのにここ最近ミスも続いて…。情けなくて。」


同期も先輩も頷きながら、面白くもない話を全部聞いてくれた。

久々に仕事が早く終わって、帰ったらサザエさんが見れるような時間なのに。


「りさは、何が他の2年目と違うと思う?何でうまくいかなかったんやろう。」


色々、思いつく限りを言ってみた。

注意力がなくって、観察力もなくて。色々手落ちも多くて。

先のことを考える力も足りなくて…


「りさはね。

怒られたり、失敗するのをすごく怖がってたんやろうと思うんよね。


観察力や考える力が足りないのは、他の子も一緒よ。


でも、あんたに一番足りなかったのは


『やったことないので、一緒に見てください。』 


『やろうと思うのですが、これで大丈夫でしょうか?』


この一言よ。これが、他の2年目よりも圧倒的に少なかったと思う。


これしてきなさーい、って言われて『はい!』って言って行くけど、

大丈夫やろうか?って思ったこと何回もあるもん。

返事はいいっちゃん。りさは。」


「出来ないことは出来ないって認める。

ごまかしたり、上辺だけを撫でるんじゃなくて、

自信がありません、出来ません、指導してくださいっていう謙虚さ。勇気。


そうやって、分からないまま流してしまって、指導を受ける機会を逃してきて

だから気がついたら一人だったでしょう?」


「何でりさにハイケア(重症室)を任せられなかったか。


本当に出来てるのか、どこが分からなくて出来ないのか。

上でリーダーをする立場で、それが全然分からんかったけんよ。


他の子はちゃんと相談したり、報告したりしてくるもん。


これで大丈夫ですか?こう思うんですけど、どうですか?って。」



「りさは『いい子』になろうとしすぎたんよ。


いいやん、失敗して。分からなくて。そりゃ、怒られるかもしれないけど。

怒られるのは嫌かもしれないけど。


出来なくてどうしようもなくて怒られるけど、成長したねーって後で言われれば。


こっち(先輩)は出来ないものって思ってるんだからさ。

言葉は悪いけど、

最初っからあんまり信用してないし、頼りにもしてないしさ。


怒られて怒られて、出来ない子ほど成長するんよ。


どんな達人も、どんなプロも、

そうやって怒られて、失敗して、泣いて成長していくんよ。」


分からないことも、分かってるふりをしたり

出来てないことも相談できずにいた。今まで。

怒られるのが怖くて。呆れられるのが嫌で。

『信頼されたくて』必死だったのに、いつの間にかりさの信頼はゼロ。


いや、ゼロのまんま成長しなかった。


他の2年目は怒られながら、呆れられながらも

苦しみながらちょっとずつ成長して、信頼を獲得していってたんだ。


方やりさは、嫌なこと、きついことから逃げて、

上辺だけを撫でて楽なほうにばっかり逃げてた。


その結果が、今の自分の状況を、結果を招いたんだ。


今苦しいのも、辛いのも、全部自分の行いの結果。


そう思うと、分かってたけど涙が出た。


「3ヶ月、神様がくれたお休みだと思ってしっかり自分を見つめて。

何がいけなかったのか、どうしなきゃいけなかったのか。


きっと、3ヶ月の休暇は夢のように見えて、とっても辛いと思うよ。


最初の1~2週間は休みだーって思って嬉しいかもしれない。


でも、絶対来るよ。辛い時期が。

だってみんな働いてるんだもん。

絶対、自分を責めて辛くなる時期が来る。


それでも逃げないでちゃんと考えて、


4月からまた看護師しなさい。

りさにはいいところもたくさんあるんだから。


こんどはちゃんと周りと信頼し合って動ける看護師に。」



ママはやっぱり最後までママだった。


全部見抜いてて、アドバイスも的確で。

きついことも言ってくれて。


たしかにその通りだ。ママの言うとおり。


きっと、辞めてからの3ヶ月もママの言うとおり辛いんだろう。

自分を責めて、周りを羨んで悲しくなったりもするんだろう。


でも、乗り越えなきゃ明るい未来はない。


逃げても何にも解決しなくて。この辛さからの開放はない。


今回は逃げてしまったけど、その経験が無駄にならないように。



「風の噂で、りさが頑張ってるって聞けるのを楽しみにしてるよ。」



絶対変わらなきゃ。



頑張るよ、ママ。