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弟の結婚式があったので家族で札幌に帰省しました。

結婚式の前夜、まだ裁判の具体的な目処は立っていなかったんですけれど、両親に雄一を提訴する意向を伝えました。

 

口にすることは心が痛みましたし、つらいことでした。

父はびっくりするほど激怒しました。

「おまえは何を企んでいる。弟の結婚式を潰すつもりか」と怒鳴りました。

「いや、でも事実なんだからさ」わたしは落ち着いて言いましたが父の怒りは収まらず、しばらく怒鳴って話はお開きとなりました。

気性の荒い母はなぜか一言も口を開きませんでした。

 

父の怒りは理解できます。

自分の身内の不始末なんだから、わたしの被害に寄り添うよりも、身内の付き合いを優先させたかったんでしょう。

もっと言えば、わたしの被害は目に見えるものではなく、ODを3回して入院していることなど問題があっても両親の元を離れてからの出来事なので、順調に暮らしているわたしはそのまま遠くの街で順調に暮らして欲しかったんでしょう。

 

母の沈黙の意味は少し戸惑ったんですが、数日後、温泉に行ってふたりで露天風呂に入っていた時に、「裁判起こすならとことんやりなさい。お母さんは応援してるから」と言いました。

「あそこんちはお金があるから、しっかり取ってやりなさい」とも言いました。

 

雄一とのことはその時限りで親には言ったことがありません。

成人してからの両親とわたしの関係はとても良好だったので、くどくど話して諍いを起こす必要はないと思ったんです。

それに親の手は借りなくても裁判はできそうですし。

 

弟の結婚式には母の気合いが入り、わたしも貸衣装の色留袖を着せてもらいました。

髪もちゃんと結ってもらって、鏡を見るとそれなりにいい感じで、わたしも機嫌良く車いすの祖母を押して歩いたりしていました。

 

披露宴で弟が「いとこ会の写真を撮るから並んで」と言いました。

白いタキシードみたいのを着た雄一がわたしのすぐ後ろにピッタリ立ちました。

露出しているはずのない雄一の性器の感触を感じてわたしは冷や汗が全身から吹き出してました。

とても気持ちが悪い瞬間でした。

 

リッドキララ