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1.細菌による食中毒の発生状況
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食中毒は、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌、ノロウイルス、E型肝炎ウイルスなどの微生物やアニサキス(寄生虫)、自然毒、化学物質などさまざまな原因で発生します。
■食中毒の発生状況(2014年)
2014年に日本国内で起きた食中毒は、件数976件、患者数19,355人となっています。原因別(件数)では、細菌によるものが約45%、毒キノコやふぐ毒などの自然毒が約8%となっています。細菌性の食中毒では、腸管出血性大腸菌、サルモネラ属菌などは、重症化すると死亡する場合がありますので、注意が必要です。
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2.食中毒予防の3つの原則
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食中毒を防ぐためには、「つけない」「ふやさない」「やっつける」という予防のための3つの原則があります。
■「つけない」
食品に食中毒の原因となる菌がついていなければ、食品と一緒に口に入ることはありません。食中毒菌は、人や動物の排泄物、土壌などから、食品に付着します。食材は清潔に扱い、食品を扱う前には正しい方法で手を洗います。食中毒菌の付いた食材から、人の手やまな板などの調理器具を介して別の食材に菌が付着する「交差汚染」も考慮して、加熱調理前の食肉や魚介類は、生で食べる野菜などと接触しないようにしましょう。
■「ふやさない」
細菌は、温度などの条件が揃えば自力で増えることができます。食品の表面や中でも増えるので、食品の保存の際に、冷蔵庫に入れるなど食中毒菌が増殖しにくい状態にしておくことが大事です。
・温度
食中毒菌は、人や動物の体温に近い温度で最も増殖しやすいという特徴があります。たいていの細菌は、5~45℃の温度帯で増殖します。冷蔵、冷凍は温度を下げて細菌の活動を低下させますが、殺菌できたわけではないので、十分に注意が必要です。また、電気釜での保温は45℃より高い温度帯を保つ「温蔵」によって細菌の増殖を防ぐ方法です。
・酸性度
食中毒菌は中性のところで最も増殖しやすいので、昔から酢で締める等、酸性にして保存する方法が行われてきました。しかしながら、アニサキスなどは酸性に対する耐性が強いので、サバ寿司などは、酢で締めていても注意が必要です。
・水分活性
食品中に微生物が利用できる水分がどのくらい含まれているのかを示す値を水分活性と言います。細菌は、水分活性が最大値の1に近いほど、増殖しやすくなります。アジの開きは0.96であり、食中毒菌は増殖できますが、煮干しは0.58なので、カビは生えても食中毒菌は増殖できません。イカの塩辛は水分活性が0.80、塩サケは0.88であり、食中毒菌の増殖を防ぐにはこの位の水分活性とする必要があります。水分活性を下げるには、乾燥させることの他にも塩分濃度を上げる方法があります。また、現在多く見受けられる塩分濃度を低くした食品は保存性が劣りますので、低温下での保存を心掛けるなど他の方法も組み合わせるとよいでしょう。
・空気(酸素)
多くの食中毒菌は、空気(酸素)がなければ増殖できないのですが、空気(酸素)のない環境でだけ増殖する細菌もあります。
※リステリア・モノサイトゲネスは4℃以下の低温や12%食塩濃度下でも増殖できるため、冷蔵庫に長期間保存され、加熱せずにそのまま食べられる食品は食中毒の原因となる可能性があり、注意が必要です。他の一般的な食中毒菌と同様に加熱により死滅します。
■「やっつける」
食中毒菌をやっつける、すなわち殺菌するには、加熱、アルコールや次亜塩素酸等の殺菌剤の使用があります。調理器具や食器、手指の洗浄も大事です。一般的な食中毒菌は、食品の中心の温度が、75℃で1分間以上となるよう加熱すると、死滅します。
※「やっつける」際の注意点
・ボツリヌス菌、ウエルシュ菌、セレウス菌などは、増殖に適さない条件下におかれると加熱や乾燥に耐えることのできる「芽胞」となり、条件が良くなると増殖を始めます。「芽胞」は、加熱で死滅しないことがあるので注意が必要です。
・黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌は、菌が作り出す毒素により食中毒を起こします。これらの毒素のうちエンテロトキシンは、加熱しても分解しません。加熱を過信することも要注意です。
食品の交差汚染に十分に気を付けるとともに、菌の活動を抑えるために保存温度に注意することが重要です。
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3.まとめ
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細菌による食中毒を予防するためには、食べ物がつくられる農業生産から加工、流通の各段階での対策が重要ですが、私たち消費者も家庭での調理段階において、食中毒予防の3つの原則である食中毒菌を「つけない」「ふやさない」「やっつける」ための洗浄、加熱、保存を徹底することにより、食中毒のリスクを低減することができます。日頃の心がけが大切です。
※食品を科学する-リスクアナリシス(分析)連続講座
相手を知ってやっつけよう~主な細菌性食中毒の特徴と対策~
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20140703ik1
食品安全委員会e-マガジン【読み物版】平成27年5月18日配信版 より