香水 1 | 日々自分を愛する★世界を幸せにする

日々自分を愛する★世界を幸せにする

アラフィフ、独身、バツイチ。趣味は海外ひとり旅。2014年、私は不幸と思い込んでいた時にブログを書きはじめ、2020年の今、最高に幸せと感じられるようになるまでの日々、
感じた事をブログにしています。
良かったら一緒に面白がってください(๑˃̵ᴗ˂̵)

1月の外気は今日も刺すように冷たい。

ダウンジャケットの袖口から覗く、

悴んだ手の平を握りしめた。




ラグナに向かう交差点の向こう…。


50m先にひろとの姿が見えた。



夜の闇に溶け込むような黒のコートに、金髪のセットされた髪が揺れている。


後ろ髪を引っ張られるように歩くひろと独特の歩き方…。


見つけた瞬間、自然に顔が笑ってしまった。


私は駆け出したい気持を必死で抑える。

街中に溢れる人の中で、
ひろとだけが浮いて見えた。


どんなに遠くからでも私は、ひろとをすぐに見分けられた。

いや…、見分けられるのとは違う。


目に飛び込んでくる感じだ。


私の目にセンサーが付いていて、ひろとを見つけると、
ピタッと標準を合わせてしまうのだ。



たとえ一緒にいる時でも、意識しないようにすればするほど、ひろとの姿を目で追ってしまった。



堪えきれず視線をそらしても、
全身でひろとの気配を感じようといつも気を配っていた。




ひろとから二分ほど遅れて、私はラグナのエレベーターに乗り込んだ。




エレベーターを降りるとすぐ、

“ラグナ”とロゴが入った重厚なドアがあった。



“中でひろとが待ってる”


私は今日もドキドキしながら、そのドアを開けた。


ひろとはいつものカウンターの右端の席に座っていた。


頬杖をついて携帯を弄っている。



画面に集中していて、私に気付く様子もない…。



私は近づいて行って、顔を覗き込んだ。


「お疲れ。早かったね♪」


ひろとはこちらを見て、青い目を嬉しそうに揺らした。



「お疲れ~。うん、今来たとこ」



「知ってるよ(笑)」

「え?なんで?」



「だって、下でひろと見えたから(笑)
もうオーダーした?」


「うん、ココア」


私は苦笑いした。


ラグナはワインバーだ。

元々、この店にココアはメニューになかった。


常連の私と、
よく一緒に来るようになったひろとの為に、
店長が用意してくれたのだ。


それ以来、
ひろとは毎日の様にココアを頼んでいた。


バーテンの小崎がおしぼりを持って来た。


「いらっしゃいませ、理緒さん。

シャンパンですか?」


「shure!」

突然、
英語で返した私に、小崎は笑顔のまま手を止めた。



「もちろんって事!(笑)」


横からひろとが口を挟む…。


小崎は“ああ!”って、顔をして、


「yes,miss!」


と元気よく返して、
シャンパンを取りに行った。




私は酔うとよく、英語でひろとに話かけた。


簡単な日常会話だったけれど、
その全てを彼は聞き取って、


「I see 」


とよく響く、低い声で答えた。


ひろとはハーフで、お母さんはアメリカ人だと聞いていた。

ずっと小さい頃に別れて、
どんな人だったか記憶にないと言っていたけど、


その発音はDNAって、スゴいなと感じさせるものだった。