あるところに一人の女がいました。

女には好きな男がいました。

しかし男には恋人がいました。

いつしか女は男と毎日時間を共有するようになりました。

すると男は恋人と別れたのです。

女はその環境に甘えてしまいました。

素直な気持ちを伝えないまま。

とにかく男と毎日を過ごしました。

恋人じゃないもん、と言い張って。


ある日のこと。

男は言いました。

「元恋人とやり直すんだ」

女は言いました。

「あぁ、そう。」

それでも二人はたびたび会瀬を重ねていたのです。

数年もの間。

その間に男は結婚もし子供も授かりました。

女の不安は募る一方でした。

自分はこのままどうなるのかと。

気付いた時にはもう遅かったのです。

女は薬と酒に頼らないと眠れなくなっていました。

暴飲暴食による体重の増減は著しく、胃薬を手放せない日々が続きました。


気持ちの変化は突然でした。

このままじゃいけない。

一念発起した女は環境を変えることを選びました。

男との連絡の一切を絶ちました。

転職をし、引越しをし。

見知らぬ土地での生活を選びました。

いつしか女の心身から男の残像は消えました。

もう薬にも酒にも頼らずに眠れるようになりました。



数年後。

女は違う男に出会いました。

そして気付きました。

道はいつも似ているなぁと。

女に穏やかな幸せが訪れることは永遠にないのかもしれません。

因果応報とはまさにこのこと。

でも女は夢見ているのです。

笑顔だけで過ごせる日々を。