母の小指を握って歩くのが好きだった。
母の手首にはいつも銀の時計が揺れていて、歩きながら何度も何度も文字盤を確認したっけ。

高校生になっても少しでも日が暮れると母が歩いて迎えに来てくれる。
今のように携帯があるわけでもないのに。

丁度秋、夏布団をしまって厚手の布団に替えてくれた翌朝に、母は自ら死んでいった。
母の不平不満、愚痴や悪口を一切聞いたことがなかった。
何を悩んでいたのかな。

ミコちゃん反抗期の真っ最中。
「ミコちゃんは本当はそうじゃないってお母さん分かってる」
何がそうじゃなかったのか聞き返しもしなかった。

お盆過ぎて風が冷たくなると例年回想する母のこと。でももうミコちゃんもいい大人。

母の存在は大きい。
息子達の為にも長生きしなくちゃね❤️