こんにちは!浅草のステッキ屋:Ribalonです。

週に一度の名盤レビュー♪

今回はジキルの「ロケット」です。

 

ZI:KILLは、ビジュアル系サウンドの元祖とも言われるバンドです。

勿論ビジュアル系と言ったらエックスが元祖なのですが、

クリーントーンの怪しいアルペジオや歪みがかったカッティング等、

いわゆるビジュアル系の王道のサウンドは、ZI:KILLの「Close dance」「Desert town」辺りで確立されました。

 

七色ヴォイスと言われた変化自在の低音を活かした声が素敵なヴォーカルのTUSKと、

変態的なギターアプローチと幅広い曲調を作曲できるKen、

そしてシンプル且つ印象的なベースラインを奏でるSeiichiがオリジナルメンバーで、

ドラムは、元ラルクのユキヒロやデランジェのテツなども在籍していました。

ちなみにZI:KILLはエックスのHideにより発掘されたバンドです。

 

そんなZI:KILLが大化けしたアルバムが1993年にリリースされたメジャー3rdの「Rocket」です。

ビジュアル系の殻を破るどころか、ジャンルを超えたOnly oneのバンドになっています。

男気ムンムンセクシーボイスの「あえげ!メス豚」、

クールなBassから始まる「FLY」、

大草原で青い挫折を感じている!?「For me」、

どこまでも広がる未来のような「Calling」、

とことんジャジーな「ナニモイラナイ」、

ハードコアな「Peaple purple」、

全てが終わってしまったような「Rocket」など、

今聞いても新しく感じる、聞いたことのないサウンドが10曲収められています。

 

そしてこのアルバムを最後にZI:KILLは解散しています。

最高にカッコいいアルバムなのですが、最終曲「Rocket」の歌詞でTUSKはこう唄っています。

「僕らの作る橋を渡るためには、知りたいことはもう何もなくて・・・」

今思うとアルバムを作りあげた地点で解散は決まっていたのかもしれません。

 

ちなみに、「Rocket」リリース1年後くらいにLunaseaが同じメジャー3枚目の「Mother」を大ヒットさせています。

ZI:KILLはメジャーデビュー後、事務所トラブルで活動休止時期があったりと、大変な時期を経験しています。

トラブルが無くスムーズなプロモーションが出来たうえで「Rocket」をリリースしていたら、

どんな未来になっていたのかな!?と私は思います。

 

私見ですが、アーティストって自分のサウンドを変えないパターンと、

色々なジャンルを飲み込んで音も曲も消化していくパターンがあり、自分サウンド型の方が支持されやすい傾向があります。

ムーブメントと世代で分かりやすいのが、Oasis(自分サウンド)とBlur(ジャンル消化)みたいな。

ビジュアル系で言うとエックスやLunaseaは自分サウンドで、ZI:KILLはジャンル消化なんですよね・・・。

 

これだけカッコいいバンドが語り継がれていかないのは悲しい。

このジャンル消化型の「Rocket」が多くの人の記憶に残るようにと思います。