記憶の糸が結び付いて、確かにそれと気付いた時には、もうその姿は人波の中に消えていて、自分の頼りない記憶と、気付けなかった事に少しだけ落胆している自分に嫌気がさす。
どんなに時間が経っても変わらないものがあるなんてのはきっと、ただの幻想だ。思い込みはそれでも、時に人を歩かせる原動力にだってなり得るから、一概にその幻想を切り捨てる訳にもいかないのだけれど。
脚色された記憶も、都合の良い未来図も、意味を持たないとするならば、この街で今日、すれ違った僕等に、一体何の意味があるというのだろう。誰がその答えを知っているのだろう。
今日の僕等を、僕等の体温や感情を、ありのまま全て留めておく事なんて、できやしないのに。
記憶は眠らせたまま、今日も君は、この街の片隅で静かに呼吸する。
