以前より、少し遠くまで行ける様になった。ひと回り大きく広がった地図を片手に、夜を抜ける。

人も車もない道路の真ん中を、ただひたすらに真っ直ぐに、走る。
過ぎていく景色は、真新しさこそあれど、奇抜でも珍しくもない、ありふれた風景。


変わったものがあるとするなら、それは街を抜ける僕のスピードと、風景を捉える僕の目だ。

世界の変化は、僕が思うより、ずっと緩やかで、静かだ。



だからきっと、過ぎた思い出や、その時の風景や、交わし合った言葉は何一つ、今はもう、分け合う事はできないんだろう。分け合うべきではないんだろう。

僕等はもう、あの頃と違うスピードで、違う景色を眺め、違う感情は抱いている。それぞれが進むべき道を、それぞれの歩幅で、駆け抜けていく。


いつかまた、すれ違う時がきたとしても、僕等はお互いを、何気ない風景の中に見逃してしまうんだろうか。それはそれで、正しい事なのかもしれないし、何よりそうならない自信が、今の僕にはなかったりするんだ。



だから、どうか、元気で。
今は走り抜けるべき時だと思うんだ。
それぞれが思う、そのスピードで。