いつもはラウンジになっている その一角に

いつのまにか
献花台が 設けられていて


僕は その事に

来る時は気付きもせず

帰り道になって

初めて 気が付いたのだった。






『誰でもよかった』と言う

だとするなら

命を落としてしまった事は
不運以外の何物でもない





彼女は不運に見舞われ


僕はその不運に

同情はおろか

気付く事すらなかった。






何億もの可能性の中から

幸運にも この世に生まれてきたというのに

いなくなる時は

不運以外の何物でもないなんて



理不尽にも程があろう





そして

その不運を目の当たりにしても 尚

生まれてきた幸運を

ここにまだいられる幸運を


感じる事すらできないでいる。






そうして
静かに季節は流れて

根のない花々はやがて枯れ

何もなかった様に

人々が行き交うラウンジへと
風景を取り戻していくのだろう





それでも


僕等は忘れないでいられるのだろうか。