モスクワの夜明けに吹いたのは 赤い風だった
それも酷く血生臭く
乾いた風だった。
至高の舞台と呼ぶには あまりにも
御粗末過ぎる戦いだった
そこには 悲劇のヒーローもいない
同情に値する失敗もない
死んだ母に捧げるゴールも
9年越しの悲願への執念も
すぐに 勝利に全てが掻き消され
やがて 敗北に全てが忘れ去られる。
至高の舞台?
極限の争い?
聞いて呆れる
この試合が世界に示したのは
ロマンの欠片も無いフットボールの
愚かな側面
何故 エッシェンが右SBのファーストチョイスにならざるを得ないのか?
何故 ドログバはあの舞台でロマンの欠片も無い愚行を働いたのか?
何故 ロナウドは悲劇を演出することさえ出来ないのか?
何故 5人目にはテリーが蹴らなくてはならなかったのか?
そもそも この劣悪なピッチは何だ
フットボールはいつから持久走になり代わったのか
だいたい この2チームが欧州最大の栄誉を争う必要性があるのか
他の歴史あるクラブがこの舞台に立てないのは何故だ
悲劇のヒーローにすらなり損ねた彼がMVP候補になる有様だ
人気投票なら他所でやってくれ
金がモノを言い
資金力がフットボールの世界地図を塗り替えた
歴史や功績に胡坐をかき
財政難や成績不振に喘ぐかつての名門の数々
野心や自尊心
弔いや執念
本当にもう それだけでは
戦う事はできないのか?
フットボールはもっと
ドラマチックであるべきだ
教えて欲しい
そのトロフィーは
何を 彼等にもたらすのか?
モスクワの夜明けに吹いた風は
酷く血生臭い
死にかけのフットボールの臭いがした。