生きている Vol.1139
料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない技術の裏に隠されているものを書いています。それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。 朝、四時四十四分・・・。 蝉の声で目が覚める。 四は僕にとってラッキーナンバー。 「やったぜ、ベイビ~」 長女の誕生日が四のぞろ目だから・・・。\(^_^ )/ 健常児に生まれてきたら、こうは感じなかったかもしれない。 先天性の病気を持って彼女は僕の前に現れた。 生後ひと月目のちっちゃな身体で手術に耐えた・・・。 あの時、彼女に生き抜く力を見せつけられた。 だから数字の割り振りで些細なトーンダウンがない。 逆にトーンアップするだけだから、非常に楽だ。 何故って、色々なところで数字を割り振られるから。 勝手に割り振られた数字で、それもコンピュータなんぞに 振り当てられた数字で、気分を変えらるなんて・・・。 冗談じゃない。(笑) 神様はそれをご存知で長女に生を授ける時、そんな悪戯を したのだろう。 予定日から一週間も遅刻してやって来た。 ・・・・。 と、そんな風に周りの勝手な言葉や態度でどれだけ自分が アップダウンしているだろう? 全く動じない、仙人の様な方なら別だけれど・・・。 普通は、慌てたり、焦ったり、憤ったり、怒ったり・・・。 照れたり、笑ったり、喜んだり・・・。 感動して泣いたり・・・。 感動して泣くのは良いことだ。 人生を一番癒してくれる。 とことん疲れ果てて、愚痴を言いたくて・・・。 愚痴がこぼれ出て・・・。 誰かに解って欲しい・・・。 誰かに聞いて欲しい・・・。 そんな気持ちを抱えながら生きていると、人生は結構重い。 そんな時、家康?の「人生は重き荷をしょって・・・」 なんて聞かされると、メガトンパンチをくらって思い切り 打ちのめされる。(笑) 相手は励ましで言ってくれているのだけれど・・・。(^_^;) かといって、お笑いでは感情のトーンが違いすぎて白々しい。 こんな時は、バスタオル級に泣ける映画か小説がいい。 人生捨てたものじゃないとかなりの確立で回復する。 僕は陶器を見ていてそう思った時があったから、陶芸を始めた。 今、陶器を眺めてのあの時の気持ちにはなれない。 自分の気持ちですら一期一会だ。 だから、思い出せばあの時の気持ちが愛しい。 人生の本当の豊かさとは、「自分の気持ちが愛しい」とどれだけ 思えるかではないだろうか? 勿論現実的な、物質的な豊かさも必要だろう。 追い求める事も、追いかけることも豊かさだろう。 それらを否定して・・・。ではない。 ただ、現実「あの日の自分の気持ちが愛しい」と口に出してまで 言い切れる瞬間はどんな時だっただろう? 僕には、今のところあの陶器を見ている内に自然に涙がこぼれ出 たあの瞬間と、後述の時だけ・・・。 どちらも「幸せ」とは、決してほど遠い時代だった。 「C階段」というフランス映画のほぼラストに、自由奔放で辛辣 な若い美術評論家が、ルノアールを見て涙する場面がある。 あぁ、これ・・・。 あのワンカットは、とてつもなく深くて、潔くて・・・。 きっと監督(脚本?原作?)の本音だから・・。好きだ。 観る人の今置かれた環境によっては、あの場面でバスタオルが必 要になるかも知れない。 映画は、何度も観るのがいい。 小説も、繰り返し読むのが良い。 今置かれた立場で、言葉の存在理由がが全く違ってくるから・・・。 同じ言葉ですら一期一会。 著者が魂を吹き込みはするが、息を吹き返すか否かは、読み手の 立場で変わる。 だから人生の本当の豊かさとは、著者の魂に呼応する立場で読ん だ時をどれだけ持てるか。ということでもありそうだ・・・。 その一行が、その言葉が愛しくてたまらなくなる。 僕はある時期、日経に掲載された伊藤雅俊氏(イトーヨーカドー 創業者)の私の履歴書の一こまを切り抜いて持ち歩いていた。 「嵐の中、兄がコートの前を縄で縛って、必死に自転車を漕いで いた姿が忘れられない・・」って書いてあった日の切り抜きだ。 些細なことで、イライラしたり、不安になったり、落ち込んだり している自分が本当に小さく思えた瞬間だった。 そしてしばらくは、その切り抜きを財布からとりだしては読んだ。 読む度に涙が出てきて、最後は声が震えて読めなくなった。 あの時、あの言葉に本当に巡り逢えたのだと思う。 一期一会。 出逢いはいつも不思議だ。 そして、振り返ればあの心の琴線に触れるもの達との出逢いは・・・。 やってもやっても、先が見えない・・・。 幸せが見つからない・・・。 どうしたら良いのか解らない・・・。 心の奥にいつも不安と悲しみを持っている・・・。 そんな時にだけ、出逢えるような気がする。 だから、やっぱり「人生は捨てたものじゃない」のだろう。 健気に生きていれば、その不遇の時代が愛しく思えるものなの だから・・・。 それなりに生きてきて・・・。 土建業に無我夢中になり、 料理人修行に人生を費やし・・・。 「りあん」という店の維持に十五年間翻弄され続けている。(爆) 本当にハラハラ、ドキドキの連続だと思う。 まだまだ続く・・・。 よく工事現場で死ななかったと思う。 よくNYで撃たれなかったと思う。 よく巴里で捕まらなかったと思う。 先が見えない時・・・。 やってもやっても進めない・・・。 そんな時は、傍目にはちっとも輝いていないかも知れない。 誰も、注目してくれないかも知れない。 誰も、解ってくれないかも知れない。 でも、振り返れば人生の中で最も自分を愛しく思える時代なの だと思う。 そして、そこに確かな自分が生きている気がする。今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)vそして・・・いつも 「ありがとう」メールマガジン「愛される料理」発行システム :『まぐまぐ!』さん→ http://www.mag2.com/ 発行者 :料理教室&BistrotRIANT-りあん-川名克典URL :http://homepage2.nifty.com/riant/ つぶやき :http://twitter.com/yoshinori _バックナンバー:http://ameblo.jp/riant/ chefの独り言 :http://riant.cocolog-nifty.com/blog/