月蝕歌劇団3月連続公演「寺山修司-過激なる疾走-」を終え、一息ついたところです。
劇場にいらして下さったお客様、クラウドファンディングにご協力下さった皆様、応援して下さった方々、皆様本当にありがとうございました。
この演目を上演するのは三回目でありながら、大変ご好評頂きまして嬉しく思います。
特に、正にその時代を生きた世代の方々が見に来てくださって、当時に思いを馳せてくださることがなにより嬉しいなと思いました。
少々長く語りますが、これはあくまで「月蝕歌劇団の寺山修司〜過激なる疾走~」の話であり、人物考察であり、実在の人物とは似て異なるものであるという大前提でよろしくお願い申し上げます。
間違いも多々あると思います。
演出家の高取さん、寺山修司役の沙夜と
高取さんがわたしと沙夜を呼んで、「寺山修司と三島由紀夫に囲まれてみたかった……偽物だけどね」と言って一緒に写真を撮った。
わたしはこの作品は2回目、ずっと少年修司だったので、裸足に半ズボンで駆け回ってる感じだったのですが
三島由紀夫役は毎回所謂「月蝕歌劇団黄金期」と呼ばれた世代の最後の方々が演じてきた役で……正直不安もありました。
しかし場当たりのあと高取さんが「三島いいね、目がいいよ。遠くを見る時の目がね。夕焼けに佇むシーンが特にね。きみ、そっくりですよ。」と言ってくださって、月蝕歌劇団の三島はこれでいいのだと決意しました。
「三島由紀夫の割腹自殺を背景に」
「寺山修司と三島由紀夫を激突させる」
というワードが告知文章のなかによく出てくるのですが、いままでわたしは少年修司だったため、母子の物語にしか意識が向いていなかったのですが、三島由紀夫は物語にとって大切な役でした。
その話をした翌日、行きがけになんとはなしに三島由紀夫を検索して記事を読んでいたら、突然わたしは理解したのです。
告知文のなか、Twitter、色々な所に「寺山修司と三島由紀夫」のワードが出てくるけれど、しかし、2人が対面するシーンは一つしかありません。
そのシーンの冒頭に、今回有名な詩「マッチ擦る つかの間海に霧ふかし 身捨つるほどの祖国はありや」を中年寺山修司が呟き、三島由紀夫が「どうした寺山くん、ぼーっとして」と販売されている脚本通り繋がるのですが……
「身捨つるほどの祖国はありや」と寺山修司に言わせることで、国に殉じることを本懐とする三島由紀夫の対比を浮き彫りにしているのだ!ということに気がついた時の感動といったら。
理解するの遅いだろと思うかもしれませんが、高取さんは演出しながら「ここはこういう意味です」と説明することは殆どないのです。
そこが紐解けたら途端にわたしのなかにするりと色々なものが入ってきた。
ゲネの時に初めて見た、割腹自殺のシーンで最後に見た光景がハッキリと思い出された。
秋に割腹自殺をした三島由紀夫。
青年修司は「それは季節を間違えたな。桜が必要だろう」と言ったけれど、あの時桜は舞っていました。
それは背後に佇む角をあらわしたメフィストフェレスの美学だろうと思うのです。
不吉で禍々しく、美しい。メフィストフェレスと三島由紀夫の美意識がぴったりと一致したのです。そして、寺山修司とも。
メフィストは三島由紀夫にとり憑き割腹自殺をさせたけれど、それはとても愛を感じるものだ。とわたしは思う。あの桜がそれを証明している。
愛したものをその手で完成させて、食べて、自らの血肉にすることが、彼女の愛なのだ、と思います。
割腹して介錯されたあとの、暗転までの数秒。光量を絞って赤くなった日の丸のような真円のライトと、降るはずのない所で己のために舞う桜吹雪。
三島由紀夫の求めた完璧な美を毎回見ていました。嗚呼これがかみさまだ、と、思いました。
あれだけの出演者のなか、「三島由紀夫」にしか見られない光景です。
私の魂が伴っていなければあれはただのライトなのです。
あれがかみさまに見えたことが、わたしが、三島由紀夫を生きることができた証なのです。
今朝起きたら、あの光景はいつでも思い出せるのに、あの時と同じ気持ちにはもうなれなかった。
わたしのなかから、出ていってしまったのでしょう。
左様なら。わたしの中の、三島由紀夫さん。ありがとうございました。
演じることができて、光栄です!
美しき僕の病。
わたしはネット上で感想を頂くことはほとんどないので、直接言ってくださる方の感想しか基本的にきくことができないゆえ、身内ウケと言われればそれまでですが
三島由紀夫スキーの中村ナツ子さん、
花音菜ちゃんのご友人、
しのはら実加さん、
そしてわたしを選んで下さった高取さんが、最高だったと言ってくださったのでとても嬉しい。それでいいのです。
ありがとうございました。
次回は6月連続公演に出演予定です。
マクベスの方になるかと思います。
……魔王(オペラ)とマクベス(古典演劇)とレーニン(暴力革命)と信長(第六天魔王)……
全く内容が想像もつかないので、楽しみです。
内容を知り尽くされたマクベスが高取さんの手にかかるともう予想もできないですね。
どんな鳥だって想像力より高く飛ぶことはできないだろう!
6月もよろしくお願い申し上げます。