私はレズビアンだが、元々はストレートだった。ストレートからバイになり、バイからビアンになったのだが、女でも男でも顔の美しい人間が好きだ。あまりにも周りに美人がいないので、イケメンに癒されるべくホストへ行くことにした。キャバクラで美女が色目を使ってチヤホヤしてくれるなら別だが、私がバリバリの女である以上そんなはずもないので仕方ない。5分ごとにあらゆるホストたち、新人から売れっ子まで、ついては消えていく。お笑い系ホスト、どしたん話聞こか系ホスト、かわいい系ホスト、ビジュアル系ホスト、などなど目まぐるしく変わる面々。基本的に人見知りでガードの硬い私は終始接待モードだった。寧ろ姫と呼ばれるべき私の方が、だ。「送り指名、オレを選んで」「オレを選んでよ、わかった?」「オレを選んでくれたら嬉しいな」……そんな言葉でまんまと選ぶと思うのだろうか?というか、それで選ぶ女がいるとしたら相当チョロい。そのホストが他の男よりも特に秀でているというアピールポイントがなければ選ぶ理由はない。
さて、ホストクラブでは写真指名というものができる。最初は新人がつき、後半は写真指名したホストたちがついてくれる。つまり本命は後半に来る。そんな中で、最初からとある理由で一番気になっていたホストが隣に座る。売れっ子だ。私の太腿に彼の太く硬い膝が触れ合う。そんな彼はひときわボディタッチが激しい。指が絡まり、手を繋がれ、そのまま肩口に抱き寄せられたかと思えば耳元で「オレを選べよ」と囁く。
パフォーマンスとしては100点だ。私はロマンチストでキザな言動が大好きであり、男女関わらず、されるのもするのも好きだ。だが驚くことに好みの異性に触れられているというのに、ドキドキはしなかった。数年前のストレートだった頃であれば、好みの男にここまでされれば頭の中がいっぱいで食欲も湧かず夜も眠れないほどだったというのに。
それから、終始感じるのは「より多くの金を使わせようとしている」という圧。どうせ自分に金を使わせたいだけだろう、という確固たる認識があるがゆえに、そして私自身に自己犠牲の精神がゼロであるがゆえ、何を言われても、何をされてもときめかないのだ。ホストにハマるのは世間知らずで、かつ本当に純粋ないい子だけなのだろう。
ホス狂のインタビュー記事でよく見かける言葉がある。「一般人の男と恋愛するより、金を払ってホストと恋愛した方が楽だ。なぜなら、一般男性の下心に疲れるから。ホストはそれがない。」私にはわからなかった。一般男性がもつ下心も、ホストの耳触りの良い言葉の裏で金を落とさせようとする心も、私には同じだった。
両方、私は受け付けない。生理的に無理なのだ。「飲み直すよね?」送り指名したボディタッチまみれの売れっ子ホストの言葉に「しません」と微笑み、p活で得た金で初回料金を支払って、歌舞伎町を後にした。