6時間目の授業が終り、一息ついて窓の外を見る。

外は曇り。もう少しで雨が降りそうなのに 今日も駆け回ってる。

私はそんなアイツ’を見るのが日課になったのかも知れない。

「おーい。大丈夫?」

目の前で気づいて欲しそうな動作で手を揺らす。

この子は私の友達の 三井優香。

いつも元気の無い私を励ます優しい子。

でも今日は何だか、おせっかいのように感じる。

曇り…だからだろうか。

「ねぇ、沙奈?今日一緒に帰らない?」

英語のワークを手に取りながらペラペラとめくるユウカ。

「うーん ゴメン、うち途中寄りたいとこあるから。」

「だったら一緒に行くよぉ。」

「いいよ、つきあわせちゃマズイし。」

バックを手に取ると急いでドアを開けた。

別に急ぎの用じゃないけど、今日は一人で帰りたくて。

ザァー、と雨の音が廊下に響く。

ペタペタと上履きの音が混じる。


あぁ、雨か。傘…持って来てないや。

階段を下りながら どうするか迷う。

「朝、持ってけって言われたのにな…」

ガタン。下駄箱の音。ユウカまだ帰って無いのかな?

と思いつつ下駄箱のほうに駆けてった。

「…ユウカ?あのさ、カサ…」

途中まで言ってやっときずいた。ユウカじゃない。

「…は…?」

そう、アイツ…だった。


なんか…きまづいな。少し無言が続く。

アイツは濡れた髪の毛をゴシゴシ拭いている。

なんとなくシャンプーの香りがした。

そういえば、さっきからアイツ’としか言ってないけど…

「おい。」

体操着の名前が少し…見えた。…川原、…?

「おい。聞いてんの?」
はっ…やっとわれに返った。

「何…よ。」

「そこ。邪魔なんだけど。」

「あ。ごめん…」

「…。」

アイツは無言で階段を駆け上がって行った。なんか感じ悪い奴。

走ってる時はキラキラ輝いて見えたのに。

それは一瞬の出来事だったのかな?

少し、話しただけだったけれど、私は、とても…嬉しかった…気がした。