~うるむside~
オレが学校から帰ったら、いつものように、母ちゃんの声がした。
『ただいまー』
『おかえり』
リビングに入ったら、雑誌片手に難しい顔してる。
『なにしてんの?』
『ねぇ、うるむ。母ちゃん、少しお仕事していいかな?』
ん?お仕事?
『なんで?』
『ん?んー…考えるところがあってさ…そんなに長くないよ?2ヶ月、少し頑張るだけ』
『ふーん…オレは構わないけど、ゆきは?』
『ゆき?ゆきはね、母ちゃんの方のお婆ちゃんに、少し見ててもらおうかと思って…』
『まあ、オレは反対しないけど、潤がまたなんか言うんじゃない?』
うん、絶対言うし。
潤のことだから、
【なんでそんなのすんだよ?必要ないだろ?】
って。
『…オレがなに?』
背後で、少しトーンの下がった声がして、オレはビクッとした。
恐る恐る振り返ったら、やっぱり潤だし。
『お…おかえり。早かったね』
『ただいま。うん、思ったより早く終わったからさ…で?なに?』
母ちゃん見たら、少し言いにくそうな顔して、潤を見た。
『あのさ…少しだけパートしていいかな?2ヶ月だけでいい』
『は?パート?なんでそんなの、すんだよ?別に必要ないだろ?』
ほらっ、言ったよ。
オレは、手を洗って、麦茶出しながら、二人の会話を聞いてた。
『うん…欲しいものがある』
母ちゃんの言葉に潤は、キッチンで手を洗って、リビングのソファに座わる母ちゃんの横に座って、ジッと母ちゃんの顔見てる…その鋭いでっかい目でそんな見られたら、更に言いにくいよな。
可哀想な、母ちゃん。
『そんなの、別に買えばいいじゃん。オレ、今まで文句言ったことねーじゃん』
『ないけど…安いもんじゃないし…たまには、自分の手で買いたい』
『…なにを?』
『ん?…今は言えない』
『なんだ、それ。いいよ、買えば?普段買ってねーんだから、遠慮しないで買っていいよ?』
『だからさ、自分の手で買いたいのっ!潤くんから貰うんじゃなくてさ…』
『なにをそんなにこだわるわけ?お前、わりと気にして買ってないだろ?』
『…悪いような気がするし』
『あのさ?そう思ってそうだから、オレ、先回りして、お前に買ってくるよな?そうする前に、買っていいよ?』
『…でもさ、今回だけは自分の手で買いたいのっ!』
『…じゃあ、条件がある』
『なに?』
『絶対に、家事に手を抜かないこと…自分が働きたいって決めたんだから、本来するべきことをちゃんとして?うるむや、ゆきだって、寂しい思いさせるんだからさ、今まで以上に、ちゃんとやって?』
『…わかった』
母ちゃんの言葉にいまいち納得しない顔してる潤だけど…。
オレは、構わないけどな。
母ちゃんだって、たまには外の空気味わってもいいと思う。
そっから、すぐに母ちゃんは近所のスーパーで働くことになった。
家に帰ってきて、母ちゃんのお帰りの声がないのが寂しいけど、昔の母ちゃんと二人きりの頃に比べたら、全然寂しくない。
潤のばあちゃんちは近くだし、そんなに苦労しない。
3日もしたら、すぐに慣れたし。
リビングのテーブルで宿題してたら、玄関の開く音。
独り言が聞こえるから…潤。
『ただいま』
『おかえり、早いね』
『…母ちゃんは?』
『まだ帰ってない』
『……ふーん』
少し不満そうな顔で、うがいと手洗いして、オレの横に座って頬杖つきながら、宿題してるの眺めてる。
…少し貧乏ゆすりが目障り。
母ちゃんいないのそんなに気になるのかな?
意外に束縛な人?
『潤さ~そんな気になるなら迎えに行けばいいじゃん。そろそろ帰る頃だよ?』
『…別に。気になんかしてねぇーし…』
そう言って立ち上がると、リビングの窓開けて、庭に出てタバコ吸い始めた。
…気にしてるくせに。
ちょっと笑うし…可笑しくて笑い堪えてたら玄関から声がした。
『ただいま~』
『あっ、お帰り』
『あれ?潤くん、もう帰ってんの?』
母ちゃんの声に、潤が安心したみたいな顔でリビングに入ってきた。
『…遅くない?』
『そう?ゆき迎えに行って帰ると、いつもこんな時間だよ?』
母ちゃんがゆきを降ろしたら、ゆきは潤に走ってって、潤に抱っこせがむから、潤は笑いながら、ゆきを抱き上げて、チュッとした。
『ゆきは可愛いなぁ…ねっ?ゆきちゃん』
ゆきにデレデレな潤だけど、ゆきは智くんが好き。
あんなに可愛がってるのに、少し可哀想。
宿題終わって、母ちゃんがご飯の支度してたから、オレも母ちゃんの横に立った。
『母ちゃん、オレ手伝うよ?』
『じゃあ、これ皮剥いて?』
そう言ってジャガイモ渡されたら、母ちゃんからフワリと違う匂いがした。
『…あれ?』
『ん?』
『母ちゃん、なんかいい匂いがする』
『ん?そう?』
うん…する。
潤のでもない…潤のはもう少し、甘いような…。
母ちゃん見たら、なんかちゃんと化粧されてる。
いつもスッピンなのに…。
それに最近、凄く元気で…前より輝いてるっていうか…毎日楽しそう?
『…母ちゃん、最近、楽しそうだね?』
『そう?』
うん…楽しそう。
知ってるんだ…。
この前、母ちゃん、スーパーの若いお兄ちゃんと楽しそうにおしゃべりしながら帰ってきたよね?
潤は知らないけど…。
潤が知ったら…どうなんだろ?
チラッと潤を見たら、ゆきと楽しそうに遊んでる。
母ちゃん見たら、やっぱいつもより可愛い気がする。
『母ちゃん…』
『ん?』
『母ちゃんは潤を好きな母ちゃんでいてね?』
『何言ってんだよ、うるむ…変なの』
照れ臭そうに笑う母ちゃんは、やっぱりなんか…いつもより可愛い。
大丈夫だよね…うん、大丈夫。
つづく。
おはよ~。久しぶりにうるむくん。
リクエストが多かったから、考えてみたよ~。
妄想は書いてる時の、参考のためにコメ欄空けるけど、ブログにお邪魔する形でコメ返にかえさせてもらうね…。