その日、いい気分で仕事行って、わりと早めに仕事も終わって家に帰った。
『ただいまー』
『おかえりー』
リビングに入ったら、声はしたのにいない彼女。
『あれ?』
寝室行ったら、鏡の前で1人ファッションショー中。
『…な…何してんの?』
なんだか、いつもジーパンかパンツルックな彼女が、綺麗なワンピース?いや、フォーマルドレス?試着しちゃってますけど?
スカート履いてる姿なんて数えるくらいしか見たことないからびっくりなんですけど?
『今度、真由美の結婚式なんだ』
『…はあ?』
真由美さんって…ついこの前、お付き合いしたばっかりなんじゃ?
それでもう結婚しちゃうの?
オレらなんて、もう丸3年一緒にいるのに、いまだこんな状態ですけど?
『なんか盛り上がって、すぐ結婚決めちゃってさ。更には最近わかったらしいけど、もうこれがこれなもんでーっつーやつ?』
って、子供が出来ちゃったジェスチャー。
『へ…へぇ』
それで、ファッションショーしちゃってんのね。
『よくそんな服持ってたな?』
『ん?真由美のだから』
ですよねー…間違ってもキミが持ってるような感じじゃねーもんな。
つーか…それは胸元が怪しいです。
『…言っていいかな?』
『…なに?』
『それは、キミの貧相な胸元が…うっ!』
って、言い終わらないうちに蹴りきましたけど?
『誰が貧相だっ!一応、普通に人並みサイズだよ!……真由美がちょっとあたしよりあるだけだよ…寄せてあげれば…』
って、胸寄せてんじゃねー!そんなことすんなよ、オレが嫌です…。
『まあいいや。じゃあ違うのにするよ…って変えるから出ててよ』
『今さらどーでもいいだろ?お前の裸なんて見慣れてるよ。さっさと着ろよ、見てやるから』
『よくないから!恥ずかしいから一回出てろよ!』
無理矢理、追い出された。
しばらく待ってたら、彼女の声がした。
『潤くんさー、後ろのファスナー閉めてよ』
彼女の声に中に入ったら、手で髪の毛あげて普段あんまり見ないうなじと背中にいけない感情…。
『……閉めろって…オレのこと誘ってんの?』
ファスナーあげながら、思わずうなじにキスしちゃいました。
『…ぎゃー!やめてやめて!何、わけわかんないこと言ってんだよ!バカじゃないの!』
首押さえて、頭叩かれました。
『いってぇ…』
『ねえ、それよりどう?』
一周回る彼女。
『うーん…なんかイヤらしい』
似合ってるよ。似合ってるけど、スリットが入ってて、なんかイヤらしいの。
真由美さん、結構、露出激しいの好きだな…確かに真由美さん、スタイルいいんだよな。
『そっかなぁ?』
そう言いながら、鏡見ながら悩む彼女。
なんか…オレが嫌だ。
そんなん他の男の目に曝すの?
えーいっ!めんどくせぇ!
『脱げ!』
ってオレがファスナー下ろしたら絶叫する彼女。
『ぎゃー!何すんだよ!エッチ!』
『とりあえず着替えろよ。今から買いに行く!』
『えぇぇー?』
『松本潤によるオレ好みのプロデュースしてやるわ』
『……えー?』
なんだ?そのなんか信用の無い疑いの眼差しは?
『潤くんってさ…二回も…』
オレは言い終わらないうちに彼女の口を手で塞いだ。
『言うな。あれは過去の汚点だ。今から汚名返上してやる』
『汚名返上ねぇ…』
『だから、オレは基本的にオシャレなはずだから!』
『はずだよね?潤くんの場合は個性的なだけじゃなくて?』
『わかってないな、お前。それをオシャレっつーんだよ…とりあえず着替えろよ』
とりあえず、ぶつぶつ言う彼女を着替えさせて、オレは帽子にメガネかけて、外に出た。
『潤くん…別にさ…』
『いいじゃん。見るだけでもさ…デートデート♪』
そう言いながら、外に出たらちょっと寒そうにしてる彼女にオレのマフラー取って彼女に巻いた。
『…あ…ありがと』
そう言って少し照れて、赤くなる顔が面白くて、必要以上に優しくしちゃう。
『お前、寒がりのくせに薄着なんだよな…ホントバカだろ?』
そう言いながら、彼女の手を握ってコートのポケットに突っ込んだ。
だって、彼女、いつもオレが握った手をポケットに突っ込むと、一瞬嬉しそうに笑うんだよね。
きっとこの行為が好きなんだろうけど、口にはしないし、笑ってる自分にも気づいてないんだろうな。
その一瞬の笑顔を見たくて、いつもポケットに入れてるオレ。
ささやかな幸せってこういうこと?
外に出たら、意外に寒くて、薄着をした自分に後悔してたら、潤くんの匂いがするマフラーがふわりと巻かれた。
毒吐きながらも、優しい顔して笑いながら、マフラー巻いてくれる潤くん。
こんなさりげない優しさにキュンとする自分がいつも恥ずかしい。
潤くんがさりげなく手を取って、いつも繋いだ手をコートに突っ込むのが好き。
付き合った頃から、冬になるとするこの仕草が大好き…だから苦手な寒い冬でも好きなんだ。
コートのポケットの中で、同じ暖かさを共有するのが、あたしの幸せだって気づいてるのかな?
『…つめてぇー手』
そう言って笑う潤くんの手は暖かい。
寒いけど…暖かいあたし。
潤くん…寒がりなあたしをいつも暖かくしてくれてありがと。
つづく。