前任の合唱の指導者のコーラスの時間は
キラキラ輝く「マジック」のようだった。
新任の先生が来たので、あたたかく見守り、
その成長を横でサポートしようと思っていた。
彼女は自分でピアニストであることを表に打ち出している。
わたしに伴奏を頼むのは、5分程度、通す時だけ。
わたしが歌うのが好きだと知ると、
わたしが着くなり、言った。
やんぱっぱ、アルトに入って。」
わたしが知らないロシア語の歌だったので、
ガンガン発音の質問をした。
知らない言語の歌を歌うのは面白い。
その後、別の曲をやった時に、伴奏に来るように言われた。
出だしがオルガンで伴奏するように書かれた曲なので、
4小節の保留音がピアノでは持続できない。
1小節ごとにバスを入れていたら、バスを1小節ごとに
入れないでと言われた。ピアノでは音が消えるから
入れていると言うと、2小節に一回入れるように言われた。
それは、一つの解決策かもしれない。オッケーした。
それから、ここに、一つ音を足すようにと言われた。
わたしは抑揚なく不愛想に言った。
「それはどういう理由で?」
「これは和音のルートで・・・
わたしはこういうちょっとしたピアノのアレンジを
するのが好きなの。」
気の強い指揮者がわたしの態度にちょっとびっくりして
ひいて答えた。
前の指揮者もピアノ専門ではなかったがピアノを弾いた。
でも、彼女は、あなたがいいようにアレンジして弾いてと
言う事が基本だった。でも今度の指揮者には
もう1ミリのところまで、
彼女にあわせろとうるさく言われているようで、
重箱の隅をつつくようなこの人のやり方に、
正直言ってうんざりしている。
そのあと、声部ごとの練習に移ったので
わたしはアルトの席に戻ったが歌わなかった。
うんざりやなと思って心の中で曲は追っていたが、
歌わなかった。隣のアルトの女性や、反対側の
バスの男性がわたしの方をチラチラ見ていた。
わたしが歌わないから変だと思ったのか、
わたしは別に、おこった顔をしていたわけでもないし、
譜面台をあからさまに倒したわけでもないが、
わたしが静かに不機嫌なのに気がついたのかもしれない。
前にいた合唱の指導者は一緒にいる時間を過ごすだけで
幸せに感じる人だった。
でも、今年は、あまり幸せを感じないんだなあ。
誰か二人の合唱部員が熱心にしゃべっていた瞬間があった。
指導者はピアノを弾く手をやめて厳しく言った。
" C'est quoi, votre problème? !"
(何が問題なの?!)
場が一瞬、固まった。
1人が言った。
「ここのドからミフラットの音程がとりにくいって話してたの。」
それからは、それについてコメントしていたが、
今度の指導者はものすごく気が強い。
前の先生は、お願いだから、話すのをやめて、と、
注意を促すだけで、よかった。みんな言う事を聞いていた。
こういうふうに、きつく言う必要があるのだろうかと
感じた。
今度の指導者は、伴奏者いらないっぽいんだけど、
コンサートの時だけには必要と言う事になる。
1年間ストレスを抱えたまま、伴奏者としてここにいるべきか。
名目だけの伴奏者として、神のように素直に彼女の言う事を
全部受け入れて、奴隷のように従うか。
納得できることはするけど、音楽に比較的関係ウスの
重箱の隅っぽいことはごめんだ。
話し合いながら、折り合い点を見つけて行くことに
なりそうやな。
その前に、新しい指導者からすぐに機嫌の悪くなる
伴奏者いらんと校長に言われるかもしれないが、
落ち着くところに落ち着くはず。様子を見よう。