リハーサルの前にドラマーであるバンドの先生が会場にやってきた。
先生方も演奏するのは知っていたが、ピアノの先生は演奏旅行中だ、
先生方のグループではピアノは誰が弾くのか尋ねたら、ほとんどプロと言えるくらい、
何でもよく知っているように見えるのっぽさんが弾くと言うことだった。
それからしばらくしてのっぽさんが会場に入ってきた。
いつもと違って黒い上着に、黒いYシャツ、黒いスラックスに黒い靴、ドレスアップしていた。
素敵だった。彼は入ってきて、わたしにビズをした。
この頃、のっぽさんがわたしと一緒の授業をとっている、そのバンドの授業に顔を出さない
話をしたら、どこかのジャズピアノの先生の代講が1か月入って教えに行っていると言うことだった。ジャズのハーモニーも教えているし、代講もしているし、この人はほとんどプロのジャズマンじゃないかと、改めて思った。
一週間前にもらったと言う複数の曲を弾きこなし、ソロをふられたら、自然にすらすらと
即興していた。
その次に、わたし達のバンドのリハーサルがあった。
わたしが弾いていると、のっぽさんが舞台の上にあがってきて、わたしの楽譜をのぞいた。
興味津々と言った様子だった。
インパクトのあるライブだったので、1日に何回も、わたしの頭は勝手にライブの日のことを
フィードバックしている。きょう、あっと思ったことがあった。のっぽさんと、わたしは、プログラムの中の1曲がかぶっていた。同じ曲があったと言うことだ。イントロのボイシングと
音使いが二人の楽譜に違いがあったことが、コンサートの時に彼の弾くのを聴いて
分かった。わたしの楽譜にあったバージョンの方がしっくりくるボイシングだったと
その時気がついた。だから、のっぽさんはわたしが、どういうボイシングで弾いているか
見に来たのかもしれない。いつも、ボイシング狩りに行けるようにアンテナをはっている、これが いいジャズマンではないだろうか。聴く、興味を持つ、それを覚えるまで練習する。使えるようにする。そんなことに気がついた。わたしのように、人の弾くのを聴いて
「きれいな~」と思って聴いても忘れてしまっていた人と、
興味を持って行動にうつす人とでは、毎日の積み重ねでますます差ができていくだろう。
その話を長男にしたら、音楽に限らず、何でもそうやって覚えていくんだよ、と
親と子の役が反対、諭されてしまった。
その後に、リハーサルでkenny Barron のVoyageを弾く予定になっていたが、まだ
バシストが到着していなかった。のっぽさんが来て、バシストいないから、バスを弾こうかと言っったので、「うん」と答えると、先生のようにバスを弾きだした。のっぽさんは
わたしの話す日本語が分かる時があるので、わたしはこの人には日本語を話したり、
フランス語を話したりする。
のっぽさんは、ただ見ているだけでなく、参加型だ。そうやってなんでも数をこなして上手になっていくのかもしれない。