わたしは今日、学校を休んで、容体が悪くなったおじいちゃんの
お見舞いに夫とフランスを発った次男の通う小学校に行った。
担任の先生に、次男の帰りが延長されることを伝えるためだった。
もう長くはないだろうと言われているお義父さん。
数日前から、意識がなくなった。
特別な病室で一日に、3回、決められた時間にだけ、面会が
許されている。お義母さんと夫と、次男はこの面会時間に
毎日、必ずお義父さんに面会に行くということだった。
担任の先生に話すと、担任の先生はお義父さんの様子を聞いてくれ、
また、次男のために、クラスメートがデッサンをしてくれていると言った。
意外な言葉に耳を疑った。『一週間も休めば、忘れられてしまうんじゃ
ないか。』そんなふうに、漠然と心構えはしていた。
帰ったら次男の居場所がクラスにあるだろうかという意味だ。
個人面談の時の先生の言葉を思い出した。
他の先生に言われなければ、次男が飛び級したとは
思えないほどクラスに溶け込んでいること、お友達が
いっぱいいるということ。
学校を出たところで、わたしは次男のクラスメートの
ひとりに声をかけられた。
"oo(次男の名前) va bien ?"
"Grand-père de oo(次男の名前) va bien ?"
その子と話しながら歩いていると、
わたしは、8、9人の次男のクラスメートに取り囲まれた。
みんな、さっきの男の子と同じように、次男は元気か、
おじいちゃんはどうか、どこの国にいるのか、と
かわるがわるにわたしに質問し、
みんなが食い入るようにわたしの返事を待っていた。
わたしの前には、真剣な瞳がいっぱいだった。青くて
透きとおった瞳に、巻き毛の男の子、双子の男の子、
次男のお友達の静かな控えめな男の子、わたしの知らない
女の子、以前、柔道で次男と同じクラスだった女の子、
いつも、同じ時間に一緒に下校する男の子・・・
「わたしたち(次男とそのおじいちゃんのために)
お絵かきしているの。」
先生が話してくれたことを、もう一度聞き、
本当に、次男のことを思って、何かをしてくれているんだと
実感した。
階段を上がりきったところで、さっき、話した女の子が
わたしが上ってきたのに気がついて言った。
何と声をかけていいのかわからなかったんだろう。彼女は
"Bonjour !"
と言った後で、わたしに駆け寄ってきた。
「電話で(次男やそのお父さんと)話すときに、
頑張って、ってお伝えください。
OO(次男の名前)には、coucou (ここでは、
ボンジュールの意味)てお伝えください。」
そう言ってわたしの返事を聞いた後で走って行った。
大人になると、忘れてしまいがちなこどもたちの
やわらかな気持ちを感じた。一途さを感じた。
ちょうど今、わたしは、仕事のプロジェクトで大事な時期に
いる。それなのに長男の風邪をもらって、最後の仕上げの
明日に、歌う声が出ないという、最悪の状況にある。
そして、会場の下見と言う、地図を見るのに慣れていなくて
一キロ運転手のわたしにとっての大仕事が、まだ残っている。
いくつかの歌のフランス語の歌詞を暗記するのもあしたが期日。
上司から、新しい仕事の打診も来た。今までやっていた
ものとは、全然内容の違うものを、今の仕事の上に
引き受けてくれるかということだった。別の同僚からは、
期日までに、あるレポートを送ってほしいとのメール。
ジャズピアノのレッスンはもうすぐ。他にも用意したいことが
山ほどある。
仕事仕事と、頭がいっぱいになっていた。
そんな時に、純粋な気持ちのこどもたちに出会った。
準備、計画は大事だけど、別の次元でとっても大切な
ことがある。そえにふれると心が洗われるような
人間として忘れてはいけない大事なことがある。