先日、長男のフォーマシオン・ミュジカルの大切なテストが
あった。長男はオーケストラの授業を受け、次男のチェロの
レッスンが終わるのを待って、その足で別の場所まで車で
移動してフォーマシオン・ミュジカルの授業を2時間か
2時間半うけにいくことになっている。
さて、次男のチェロのレッスンの話をしよう。先生は、
よく、これは縦割り授業かと思うこともあるのだけれど、
レッスンがある生徒と、その次の順番の生徒を、年齢や
レベルに関係なく二人一緒に教える。イミテーションの
やり方で一人の生徒が弾くメロディを耳で覚えて弾かせたり、
昨日は先生とうちの次男と、大きいレヴェルのすすんだ
お兄さんと3人で室内楽のように弾いていた。いきなり、
初心者の次男はピチカートで先生とお兄さんの伴奏を
するために3和音を弾くように言われ、やり方を
教えてもらって2小節だけ参加した。後は大きい
お兄さんが初見で次男の楽譜を見て弾き、先生が
別のパートを弾く、二重奏が聴けた。先生は次男に
楽譜を見ながら集中して二人の演奏を聞くように言った。
二つの大人サイズのチェロが本物の音を奏でた。先生は
音楽の中に入っていた。情熱にあふれた、音楽を
愛する人の演奏だった。二重奏を奏でながら、先生が
生徒を導いていかれるのだけれど、古きよきフランスの
伝統的な音楽的なレッスンが脈々とこの先生に引き
継がれている、そんな感じがした。先生は、次男に、
楽譜を繰り返した後、記されていなかったけれど、どこで
先生たちが終わったか尋ねた。次男には答えられない
だろうと思ったら、ちゃんと答えていた。聴く人の魂を
揺るがすようなチェロの音に圧倒されながら、このレッスンを
固唾を呑んで聞いていた。
途中でコンコンと音がして、ドアが開いて、長男が顔を
出して丁寧にものを言った。
「失礼します。弟が いますでしょうか?」
わたしは我に帰って時計を見た。フォーマシオン・ミュジカルに
出発するいつもの時間より10分過ぎていた。
先生に言った。「今日はフォーマシオン・ミュジカルのテストが
あるんです。」
先生は言った。「ぼくに言ってくれないと。」
「すっかり忘れていました。とてもいいレッスンをありがとう
ございました。」
先生は、何かをいいたそうだったが、わたしにそれ以上
言うまいと、口をつぐんでレッスンをお続けになった。
「お母さん、そんなことではいけませんね、あなたはここで
何をしているんですか。息子さんが大事なテストに遅れたら
いけないでしょう。時間をしっかり管理するのがお母さんの
お役目でしょう。しっかりしてください。」なんて
おっしゃりたかったのかもしれない。その母親は、
感動して時間を忘れてしまっていたのだ。長男が12才にも
なるとしっかりしてきて、こんなわたしをフォローするように
なってきて助かった。レッスンで聴いた曲を探してみた。
次男にははじめから1分4秒のところまでのバスの部分を
譜面に書いたものでやった。先生が次男にも弾ける
繰り返しの多い、出だしの楽譜をくれたんだと思う。
この曲の冒頭部分、実際、目の前で演奏しているのを
聴くと ものすごくインパクトを受けた。ビデオで言うと
はじめから1分4秒のところまでだ。曲はシャコンヌ。
Chaconne des Eléments、Jean-Ferry Rebel 作曲。
いつまでもレッスンに付き添えるわけではない。
こどもが小さい時だけだ。でも、こんなにすばらしい
音楽のあるレッスン、できるだけ長く聴講したい。
大変なこともいっぱいあったし、今でも自分の母国でない
外国暮らし、慣れないものの言い方ひとつで、
いつ何が起こるかわからないけれど、この音楽のひと時に、
「生きていてよかった。」
その時、そんな風に感じた。
実際の生演奏ではないけれど、こんな曲です。
www.youtube.com/watch?v=elNF9nzkgwE