リーディングのコンセルティーノOp.21、とても個性のある曲だ。
月曜日に急遽、先生が息子を出演させることに決めて、
わたしが初見でレッスンの時に弾いたことはブログに書いた。
その後、わたしの仕事に時間と長男と合わせる時間が
あわなくて、演奏会前日と当日にそれぞれ1,2回あわせた
だけだった。
長男はこのごろとても勉強に力を入れていて、あまり
音楽の方に目が向いていないように見えた。最近は、同じ
この曲を弾いているのを聴いていても、前ほど精気がないと
感じていた。わたしは、レッスンの付き添いで同席する役も
終わった。何をどうやって勉強しているのかさえ全く
知らなかった。長男の練習しているバイオリンが聞こえると、
さらっと弾いてすぐ終わりにしていたし、ただ弾いているだけで
聴いていてもつまらないとは思った。でも、長男は最近、
声も少しずつ低く変わってきているし、前みたいにのんびりして
いるばかりではなく、むきになる時が多くなったような気もする。
大人へ向かって自立に向かっているのだと思う。
ものの言い方に気をつけなくてはいけなくなった。
わたしはバイオリンを弾かないので音楽のことは言えても、
弓の使い方のことは知らない。細かいことは演奏会当日の
先生のレッスンに任せることにした。
でも、レッスンに連れて行くために車を止めた駐車場の中で
一言だけ静かに言った。
「前は、とても生き生きと弾いていたけど、今はただ
弾いているだけやって気がついてた?耳でよく聴いて
弾いてみ。これが自分の鳴らしたい音やって思って
弾いてた?」
長男はちょっと考えてから静かに言った。
「ううん。」
「自分は こうやって弾きたいと思って弾きな。」
私はやさしく言った。
レッスンでも、うまく行く時とつまる所がある時とがあった。
本番は、テクニック的な問題で、リズムが崩れたところが
2,3箇所あった。今までにはなかったことだ。
うちに帰ってから長男に率直に言った。
「ママは今日のあなたのできはよくなかったと思うの。
どうしてうまく行かなかったか考えてごらん。
コンサートに出かける前に、コンピューターで
英語の宿題をするのに、一時間近く面白おかしい
you tubeの英語のビデオを見たことは関係なかったかな?」
長男はそれを聞いて面白くなかった。不平を言った。
わたしは続けた。
「今まで、うまくやってきたけど、こうやって人前で
弾きつづけてると うまく行かない時もあるの。
うまく行かない時は、それでもそこから得るところがある。
それはいいレッスンなの。ママがよくなかったからと言って
あなたを批判しているわけではないの。
どうしてうまく行かなかったか考えてみなあかんよ。
ただなんとなく弾いてただけと違う?
このメロディを歌ったことあった?弾きにくいところは
それなりの練習してた?今日崩れたところは、前にも
うまく行かなかったことがあったはず。うまく行く時ばかり
ではないことはよく知ってるの。だから、今度は
どういうふうにしようって、どういうことが起こったかちゃんと
わかってないとあかんよ。楽譜持ってきて。一緒に見よう。」
眠る前だった。ふたりともげき疲れだったけど、わたしの
ベッドの上で楽譜を見た。歌いながら、ここは、確信を持って
言い切っているところ。ここは泣いている所だって、ママは
感じるの。ここから、気を取り直したところ、そしてここは
音が上に上がって言ってるでしょ、・・・」
いつの間にかパジャマに着替えた次男も横に来て話を聞いて
いた。
夫が、
「話すなら明日にしてすぐに寝かせろ。」
と大声で言った。
「後5分!」
短く答えて、わたしと長男は
曲を歌っていた。明日では遅いのだ。今日しなければ
いけないことがある。今日したほうが効果が上がると
言った方がいいかもしれない。
夫のガミガミ声がした。
「もう5分経ったぞ!」
「すぐ終わる。」
最後まで、見てから おひらきにした。
今日、長男がこの曲を練習しているのが聞こえた。
昨日より、ずっとよくなっていた。私は長男に言った。
「いっつも こんなんやねん。コンサートが終わるやろ、
次の日になったら、自分の中から ものすごく素敵な音楽が
つながって聴こえてくるねん。これが、終わってからではなくて
その前に出てきたらええと思うねんけどな。きょうの、すごく
よくなってるよ。きのうと全然違うよ。」
長男はまた文句を言われると構えていたのか はじめは
気落ちした様子だったけれど、やる気が出てきたようだった。
「さあ、今日は、続きも一緒に見てみよか。」
長男が宿題でもらっていたところまではじめから通して弾いた。
ふたりとも、この曲が気に入っている。弾いている時も
弾き終わった時も、わたしは幸せな気持ちでいっぱいだった。
長男のバイオリンと一緒にピアノを弾いて、こんなに
おもしろかったこと、ずっと、心に、あたたかい光を
ともしているかのように 覚えておきたい。
興味のある方は、You tubeで 演奏されている方のがあった
ので こちらからどうぞ。
www.youtube.com/watch?v=y18i1ctkBOc