わたしが、何かをしに流しに立った時に、
次男が何かわたしに質問した。
フランス語だった。
水を流していたのと、まさかそんなことを夫の前で
言うはずはないと思ったのとで聞き返した。
「今、なんて言ったの?よく聞こえなかったんだけど。」
「ママはママのジャズピアノの先生とぼくのチェロの
先生とどっちと結婚したい?」
次男が繰り返した。
長男は 食べていた手を止めて、あっけにとられて
いたし、夕食を食べていた夫が下を向いたまま
固まっているのが見えた。
夏休み以降は、世界一せっかちな性格もあって、
急いでいる時などは とげのある態度をとることもある
夫だが、わたしがたしなめると、以前に比べると
ずいぶん穏やかになった。
わたしが2週間に一度、ジャズピアノのアドヴァイスを
うけているジャズマンは、すごくすてきな即興をするし、
楽しいスキャットを聴かせてくれる。彼の音楽を聴いて
いるだけでハッピーになる。ジャズは自分に興味のある
ことなのでこども達にも、よくわたしから 面白い人で
しょう、素敵な人でしょうと話してたのだろう。
次男のチェロの先生は、なんとも こどもの心を大切に
きちんと会話しながら愛情を持って ものすごく丁寧に
教えてくれる先生だ。せっかちなうちの夫と正反対の
タイプだ。
次男はチェロを始めたばかりでその先生のことを
詳しくは知らないが、こんな人に育てられたら、どんな
いいこどもに育つのだろうと思うくらい、理想的な夫で、
パパでありそうに見える。
実際、その先生にチェロをかつて習っていた大人の
女性が その先生を語る時、彼女の心にハートが
ポッと
ともるのを感じた。生徒の心にも母親たちの心にもハートをともす先生だ。確かに、わたしは、夫が
こども達のことでイライラし始めた時、こんな時、
次男の先生だったら、もっと適切なことばで
ことばがけをしていくよと、おりにふれて次男の先生の
態度に対する賞賛をおくっていた。
さあ、なんと答えよう?こども達も夫も わたしの答えを
待っていた。
わたしは答えた。
「ママはパパと結婚しているでしょう?でも、誰がいいって
聞かれたら、わたしは この3人と結婚したいな!
ただし、パパがイライラして大声で怒鳴らなかったら、ね。」
夫は少しほっとした様子だった。
こどもたちは楽しそうにわたしの答えを聞いていた。
後の二人の素敵な男性は・・・残念ながら、むこうにも
都合がある。