パリで見聞きしたことの断章 (1) | 音楽すること・生きること

音楽すること・生きること

フランスに住んでいます。結婚、出産、国を超えての度重なる引っ越しを経てフランスに在住、長男が小学校5年生の時から仕事を
再開。その1年後にジャズピアノを始めました。
音楽・その他、日々の出来事を綴っています。

きょう、仕事の教材選びと購入のために久々にパリへ行った。

電車に乗っていると、少し離れたところに座っていたアフリカ出身と
思われるマダムがサングラスをとろうとしたのだろう、耳に掛ける部分が
長い前髪にひっかかってとれなくなり、難儀しながら、ちょっとずつ
もつれた前髪をもみほぐすようにとろうとしていた。けっこう時間が
かかっていたので、取れた時は、周りの人もほっとしたようだった。
 
やっぱり少し離れたところに、フランス人のパパとそのこどもらしい、
8才か9才のくらいの可愛い男の子が座っているのが目に入った。
バカンスを満喫しているようにそれは楽しそうに子供に話しかける
お父さんの表情が微笑ましかった。しばらくしてある駅に着いた時、
大きな声が聞こえた。何かあったのかと声のするほうを見ると、さっきの
楽しそうにしていたこどものお父さんだった。Laissez descendre
ce petit jeune homme, s'il vous plaît ! C'est comme même sauvage,
hein? この小さい男の子を降りさせてください!野蛮な!
その声が終わらないうちに電車から降り立った男の子が見えた。電車に
乗ろうとした乗客の一団が男の子が降りようとしているのに強引に
入ってきて、その子が降りるに降りられなかったのだ。
よく言ったお父さん。丁寧な言葉遣いで、でもはっきりと自分の主張を
している。こんな場面に遭遇しながら、男の子も必要な時に自己主張の
できる子に育っていくのだろう。この国ではすごく大事なこと。

わたしは電車を降りて乗り換えのホームに立った。「ボンジュール。」
にこやかな黒人女性、30代くらいの人の顔があった。
「お金をくれますか。」と訊いてきた。わたしは、ノンと答えた。その人は
ふっくらとした幸せそうな微笑をうかべながら次々に人々に同じお願いを
してまわっていた。みんなにノンと言われてもあんまり幸せそうな顔をして
いるので、演劇の訓練かしら、と思うくらいだった。