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近藤等則IMA「大変」
 阿波踊りのビートを大胆に取り入れた近藤等則のIMAバンド1st。前作『空中浮遊』でも日本の土着リズムとの融合は試みていたんだけれど、『大変』では自身で歌うことを解禁したり、女性コーラス隊を起用したり、RECK(フリクション)にギターで参加させたり、ヒップホップ感を台頭させたりと、その後のIMAバンドの布石となった大転機作となりました。名作『東京薔薇』の後にCD化されて聴いた高校時代、まぁ、びっくりしました。こんな音楽のやりかたがあるのかと。世界相手に、いや地球相手にトランペット1本で向かい合う戦術は近藤さんにしか捕れないですが、いまだにもの凄く影響され続けているアートの神様みたいなひとであります。IMA作品みんな名作だけれど、やはりこのアルバムはその中でも3本の指に入るかと思いますね。

 ところで「楽しい」から「大変」に変わったのは何歳くらいだったかな? 30代に入ってからです。不況で仕事もキツくなったというのもあるけれど、実はそれ以上にストレスフルで実際一度はドロップアウトしてしまったのがバンド活動です。赤字続きながらもイベントとかも精力的にやってきたのが30代に前半だったんですが大変だったけれど楽しかったからね。だから続いたんだろうし。でも大変すぎて自分の手に負えなくなってなんだかわからなくなって挫折。いろいろ理由はあるけれど僕にとって大きな挫折でした。この挫折から脱却しようと懸命になってきたのがここ数年です。ともあれ、僕は挫折した人間ですが、同志には厳しい状況ながらも独自のバンドスタンスを築いてサバイバルしている人たちがいます。ひまわるというバンドもその1つ。彼らとは90年代末に移転前の新宿ヘッドパワーで対バンしたときに知り合いましたが、打ち込みでしかもポップミュージックを追求して、しかもライブならではのステージング演出にこだわるスタンスのバンドなんていなかったものですぐ魅了されました。特に多くの曲を書いていてテクニカルなギターを弾いていた柴田茂樹という人はとんでもない天才だとそのとき思ったのです。その付き合いはいまだに続いていて、個人的に仕事もお願いしたりという関係性になっています。



 ひまわるもいろいろあった。しばらく連絡とっていない時期もあったし。そんな彼らは今地元栃木で独自のバンドスタンスを構築しつつあるスタイルで注目されています。彼らはもともと闇雲にライブをするスタンスで知られていました。僕は音楽雑誌業界の人間なものでいろんなインディバンドはチェックしてきていますが、まぁ、ひまわるのようなバンドは他にいないと言えます。フットワークがとにかく軽くてそれこそ銀座のバーから競馬場のイベント、伊豆大島のライブイベントにお呼ばれされたり、都内ライブハウスもポップ系の音楽ができるハコはかなり細かくまで回ったのではないでしょうか。こなしてきた数は相当なものです。いわゆる拠点のハコを持つライブ活動ではなかったので密なハコとなると少ないのです。それでも90年代末~00年代当初の新宿ヘッドパワー時代は看板バンドになっていたし、近年だと都内では新宿ルイードとかでやっているのかな? ただし今のメインの場所はライブハウスではないのです。何処でやっているかというと、とちのきファミリーランドだったりりんどう湖ファミリー牧場など様々なアミューズメント施設での演奏活動なんですね。もともとエンタテインメント性あふれるバンドなのでそれはそれは盛り上がります。音楽性も非常に広いしロック一辺倒ではないので“NHK教育的な感じ”も向いているわけです。特に子供の反応はダイレクトだからね…。「ひまわる」って曲でみんな楽しそうにぐるぐる回るのが名物なわけですよ。勿論ポップバンドとしてメインストリームに挑む姿勢は相変わらずなんですが、こうしたライブハウスでは出逢えないオーディエンスに積極的にアピールしていくスタイルはいわば原点的なスタイルなんだけれど、意外とみんなやっていない。というか、普通のバンドではノウハウもないしできないわけです。地域密着的なスタンスがないとできないし、Webツールスタンスのやりかたとはある種真逆にも思えますが、さらにその真逆なスタンスをも組み込んでしまえばさらなる躍進が期待できるでしょう。もともとPVや動画制作も強みのバンドなだけに今年はその辺でも期待できると思うんですよね。



 彼らが昨年4月に久々にリリースしたアルバムが『ハンバーグ』(HIMAWARU ENTERTAINMENT)。新生ひまわるのデビューアルバムと言っていい。このアルバムで柴田茂樹は今までになくバンド感を押し出しました。贔屓目(?)に柴田茂樹テイストを期待している僕からするとその意味では薄いアルバムです。その分、各メンバーの色が非常に強く押し出されているし、ゆうすけ(b)の作曲曲なり唯香(vo)の作詞曲も入っていたりと、ソングライティング的にも門戸を開けたアルバムです。決して口を割らないけれど柴田茂樹は耐えたんだと思うなぁ。やろうと思えばマルチにいろいろできちゃうわけだからね。そして大きかったのが絢香(pf)の加入だろうね。彼女に関してはちょっと上から目線な書き方かもしれないけれど「育てよう」という意思を感じるし、そのうち彼女も曲を書き出すでしょう。またそういう娘たちが入ることによる化学反応を欲していたところは柴田兄弟にあるでしょうし、Tスクエアが若手メンバーで再編させたみたいなサバイバル方法をひまわるも賭けたわけです。で、現時点で勝っている。これはね、今だからこう書けるけれど解散を乗り越えるくらい大変な賭けだった。特にキングのり(ag)は柴田兄弟とともにスタッフ的なものをするとともにとにかく場を盛りたてたり勇気づけたり、とにかく一貫して空気を作るひと。こういうひとがいたからこそ乗り越えられたとも思う。実際、のりくんも大変だったでしょう。その集大成が先述のアルバム『ハンバーグ』だったわけですね。楽曲的にはひまわるならではのインストパートまで徹底的にこだわったポップス、ロックが満載です。全員の声、音がちゃんと聴こえるところとか、そういうところにはもの凄くこだわっている。CMの曲を聴くだけでもポップスタンダードさがわかるでしょう? 

$北村和孝 rhythmagic 楽興のとき

 そしてさらなるサプライズがゆうすけ(g,b,key,cho,prog)がまりこ(vo)と新たにポップユニット march rabbitを結成したこと。昨年初めてライブを観たときに、あ、ゆうすけくんはこんな曲が書けてギターを弾けるひとだったのか!と驚きましたが、先日リリースされた『Magical Tree』(HIMAWARU ENTERTAINMENT)を聴いたら実は歌詞まで自身で書いていたのでさらに驚きましたね。打ち込みドラムは意図的にチープな音色を使っていて、ギターもトレブリーなドライブトーンで編んでいる辺り、初期ひまわるを彷彿させる感じもあって面白かった。曲は相当作り込んでいて、随所からゆうすけくんの氣が伝わってきます。「流れ星」はひまわるの「We Never Say Good-Bye」のテイストをさりげなく織り込んでいるようだし。曲はどれも粒揃い。特に面白いのは「SUPER POWER」。曲もアレンジも歌詞も面白くて唯香ちゃんのゲストコーラスも良い。「Magical Tree」「ROUND AROUND」などごっついギターリフとポップなメロディが絡んでいくあたりのスタイルがmarch rabbitのトレードマークになっていくのかもしれない。ひまわるとまるで違うアプローチをやるんじゃなくて、ゆうすけくんなりのポップミュージックをそれまでの経験値を踏まえて編んでいったところが良い。いわばゆうすけくんのこだわりが詰まったもうひとつのひまわる的な音楽と言えるかもしれない。このアプローチがまたこのアルバムが成功した理由だと思う。この後ソロアルバムを作るらしいけれど、こっちのほうが意外性という部分はより出るんじゃないだろうか。何せウサギ年なんだものね、縁起がいいね。

 彼らはきっと人生を「楽しい」と形容するでしょう、どんな「大変」なことがあるんだとしてもね。僕がその域に達するにははてさてどれくらいかかるかなぁ。僕はあとどれくらい生きる時間が残されているかわからないがちょっと難しいかもしれない。しかしゆうすけくんのように前向きな歌詞が書ける自分になりたいものだ。無理かな。