ブログネタ:ドラマ派? バラエティ派? 参加中

日常的にテレビは観ません。テレビ持っていないし…(汗)。なので、テレビには限らないのですが、映像ものを観るのは好きです。映画だったりPVやライヴ映像を観ることは趣味と実益を兼ねて多いからね。ドラマ派かバラエティ派かっていうのは難しいよなぁ。優秀な作品ってその両面があると思いませんか? 別にシリアスな映画でもミュージカル映画でもドキュメント作品でも、その作品のタイプは問わないんです。ただ世の中にはあまりに優秀なストーリーが現実でも仮想でもあって、そして優秀なストーリーが優秀なシナリオになり優秀なスタッフによりアレンジされると、もうそういうジャンルなんて超越した凄い作品ができあがったりします。チャールズ・チャップリンやウッディ・アレンなんて、もはやドラマなのかバラエティなのかわからないものがあるじゃないですか? J-Wave「プラトン」もたまに聴いたりする僕はアンジャッシュが好きなんですが、彼らのコントももはやお笑いなんてレベルを越えたお芝居に見えるものね。ラーメンズなんかもそう。

8月23日渋谷アップリンクXを皮切りにロードショー上映されるのが映画『レス・ポールの伝説』。
http://www.ponycanyon.co.jp/lespaul/
試写会を観てきたのですが、この映画はギター・ファン云々というのを越えて面白いよ。レス・ポールの証言を交えた自伝的映画なんですけれど、もうエピソードが満載すぎて巷の小説やドラマなんかよりよっぽど面白い。グラミー賞を何度と受賞しているギタリストであるとともに、かの名器レスポール・ギターを開発した発明家であり、さらに多重録音によるレコーディング作品を輩出、マルチ・トラック・レコーダーの元祖を作ったのも彼だったりします。わりとそういう開発者としての側面は知っていたのだけれど、ミュージシャンとしてのレス・ポールがどんな音楽やギタリストに影響を受けて、どのようなかたちで音楽シーンにムーヴメントを打ち立てたのか? そのアイディアの源や契機はなんだったのか? 僕はそれについてあまりに知らなすぎた。映画『レス・ポールの伝説』はその辺のエピソードをとにかくユーモラスにテンポよく、そして貴重な映像資料や音源などを駆使して見事に描ききっています。

こうした音楽映画では、近年だとジョニー・キャッシュを描いた映画『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』がもの凄く感動的な映画でした。これは完全に俳優によって再演された映画作品だったけれどやはりドキュメンタリー要素が非常に多くて観応えあったし勉強になったのです。『レス・ポールの伝説』は逆に完全なるドキュメンタリー映画なのだけれど、興味深いエピソードやシーンが次々にあふれ出てくるかのようで、もうドキュメンタリー云々ってことも頭の中から抜け落ちてしまいそうなほど、ドラマティックで感動的な作品なのです。そして何より重要なのは93歳のレス・ポールが現在もなお週1ペースでライヴ活動を展開していること。その映像もたんまり出て来て、キース・リチャーズとの競演の模様なども観られてしまいます。常に現役ミュージシャンとして生き続けるレスの姿は、定年退職した世代にも大きなエールになるのではないでしょうか。

ここまで素晴らしい仕上がりだと、先述の通り音楽ファンだからどうとかこうとかっていうのはもはや関係なくて、誰が観ても面白い娯楽作品なんです。でもきちんとメッセージも貫かれていてね、これがきっかけとなって音楽的な枝葉が広がっていくような可能性も十二分に含んでいるのです。公開まであと1ヶ月ほどあるけれど、ぜひ夏休みの終わりにじっくりと堪能していただきたい作品ですね。僕もあとでレスのベスト・アルバムでも買ってこようっと。