毒祖母の話。
私は専門家ではないので、確信はできないけれど。
今思うと彼女は「代理ミュンヒハウゼン症候群」の気があったのではないかと思う。
病気の人、かわいそう(と見做した)な人が大好きで、わざと病気になるように仕向ける一種の精神疾患である。
私はある先天的な病気を持って産まれたため、手術を受けてある程度健康になるまでずっと「かわいそう」と言われ続け、違和感を抱いていた。
「かわいそう」じゃなくて「どうしたら良いか」ではないかと。
小学生ぐらいには回復していたと思うけれど、その後も明らかに健康を害するように仕向けられそうになった。
例えばある朝、家に祖母が来ていて皆で食事をした後、私は歯を磨こうとした。
一応、朝晩歯を磨く習慣は小さい頃からあった。
ただ何故か両親は滅多に磨かないので(私が寝た夜遅くにでも磨いていたのか?不明)、磨き方はよくわかっていなかったけれど。
歯ブラシに歯磨き粉を付けていると、祖母に「歯磨き粉は使うな」と言われた。
そんなことを言われたのは初めてだったけれど、その時はおとなしく何も付けずに磨いたと思う。
けれど、夜になってまた歯ブラシを手にすると、今度は「そんなに頻繁に歯を磨くな」と言われて驚いた。
歯が「擦り減る」とか「欠ける」とか言っていたように思う。
確かに不適切な力で磨きすぎると「楔形欠損」というものになり、知覚過敏になったりするらしいけれど、だからといって磨かないのは違うと今も思う。
今もなお、どうしてそういう発想だったのか真意はわからない。
宗教的理由によるものとも思えない。
同居ではなかったから滅多にその件では被害に遭うことはなかった。
けれど、祖母自身は毎晩入れ歯を外してコップに入れて何やらしているのを知っていたので、この人の言うことをまともに聞くとこうなるのか、とは漠然と思った。
こういう毒祖母に育てられた毒母だから、私はお菓子禁止で育ったのだろうか。
だとしても、どちらも極端過ぎてまともな思考とは思えない。
その手のことは家では無限にあり、私も今も知らずに毒されている習慣もあるのではないかと怖くなる。