初めて一緒に暮らした猫は野良のひとなつこい子猫だった。
甘えん坊で、私の顔の横で寝る子で、あるとき、どアップになった猫の口元に食べカスのようなものがついていた。気になったので、爪でカリカリと引っ掻いたら、黒いのが奥の方からぽろぽろと出てきてびっくりした。最初は外猫だったから、ノミでももっててそのフンなのか!?と一瞬背筋が寒かった。ノミがいれは、痒がるらしいけれど、そんなそぶりはしていない。なんだかわかんないけど、私はティッシュに水を含ませてごしごしとキレイにしてやった。数日後、また、黒くなっていた。そのトラジマは黒っぽい子で、唇も黒かったから、目立たなかったし、本人もたいして問題じゃなさそうだったので、私も気にしないことにした。
数年後、さちこ(仮名)がうちにやってきた。
さちこは八割れの顔立ちで、あごの下は真っ白でふわふわ。成猫になるちょっと前くらいから、あごの下にまた、黒いツブツブがつき始めた。今回は完全室内飼いにしていたので、ノミとかの危険は少ないはず。あああ、せっかくの白くてかわいいあごがなんでこんなことに…(泣)いったいなんなのこの黒いの…。
私は水を含ませたティッシュでごしごしした。
ごしごし、ごしごし、ごしごし…。
数日したら、触りすぎて痛くなったようで、あごを触られるのをいやがるようになってしまった。ごめんよ、さちこ。
どうやら、黒いのは猫のニキビと言われているらしい。皮脂腺分泌過剰なんだそうだ。
「猫のあご 黒い」で検索したら、いっぱい
でてきた。
そのあと、この黒いのは出たりなくなったり、を繰り返している。
なんとなく、
換毛期に目立ってくるような気がするけど、そんなことよりも、気になる、この黒いの。
自分のニキビだって、気になっていじって、化膿して痛い思いをする中学生だった私は、今もその魂を忘れてはいない。もはやニキビと称してはいけないと世間から言われるお年頃になった今でも、気になっていじってしまうのである。さて、この猫の黒ニキビ。かりかりやると奥の方から黒いのがでてくるし、根絶したい欲望がふつふつとわいてしまう。
カリカリしてたら、いやがられたので、脂分にはアルコールだよなーと、消毒用アルコールをコットンに浸して、ふたたび、さちこのあごをごしごし。
さちこはおっとりした…というかとろいヤツでもある。あごの下をアル綿で拭いても最初は「何か冷たい…?」程度の顔なのだけれど、揮発したのが鼻に入るか、”人間に汚された冷たい何か”を毛づくろいしてなめとろうとした瞬間に、「ハッ!!」という顔になる。この豹変ぶりが、たまらなくかわいいのです。
とりあえず病気ではないらしいので、一安心したけれど、油分の少ない食事に切り替えてみるという提案があったよ。どうする?さちこ。一緒にダイエットしてみようか。