8月5日


さてテーレマコスは帰途につく。ピュロスまではネストールの子ペイシストラトスと一緒だ。地図で確認するとメネラーオスのスパルテーはギリシア最南端、ネストールのピュロスはその北西海沿い、そしてオデュッセウスのイタケー島はその更に北西にある。テーレマコスにとってピュロスは通過点でもあったわけだ。

ピュロスに着いたときテーレマコスはペイシストラトスにこう言う。


μή με παρὲξ ἄγε νῆα, διοτρεφές, ἀλλὰ λίπ᾽ αὐτοῦ, (15-199)

私を船の所から脇へ連れていかないで下さい、ここでお別れして下さい


μή μ᾽ ὁ γέρων ἀέκοντα κατάσχῃ ᾧ ἐνὶ οἴκῳ
ἱέμενος φιλέειν: ἐμὲ δὲ χρεὼ θᾶσσον ἱκέσθαι. (15-200,1)

ご老人(ネストール様)が私を無理矢理お宅に引き留めることが無いよう

歓待しようとのお心から。私は先を急がねばならないのですから


メネラーオスの所でもあった「歓待」と「ありがた迷惑」のテーマがここでも繰り返されている。それを当主の息子に伝えるのは、テーレマコスとペイシストラトスとの間に信頼関係ができあがっていることの証だろう。二人は同年代でもあったし、上記引用のすぐ前にテーレマコスの言葉としてこんな詩行もあった。


ἥδε δ᾽ ὁδὸς καὶ μᾶλλον ὁμοφροσύνῃσιν ἐνήσει. (15-198)

この旅は(我々二人の)心の協和を強めてくれることでしょう


未来形になっているが、それは既に始まっている。


今日も暑くはあったのだが、夕方外に出てみたら少ししのぎやすく、雲が小さくちぎれていて空が高かった。まさかまだ立秋ということはあるまいと思って確かめたら、立秋はあさってだった。いくら暦は早めだとはいえ、そりゃそうだ。