長らく、このブログにも投稿しなかったのですが、途絶えていた文章表現のきっかけづくりに、久しぶりにつれづれなるままに書いてみます。
2006年に空堀ことば塾という小学生向けのことばの教室を開きましたが、それから、人智学とシュタイナー(自由ワルドルフ)教育の学びを続け、2014年には、「人智学(アントロポゾフィー)に基づく教育と芸術の実践」を目的とした非営利一般社団法人空堀アントロコミュを設立しました。
空堀ことば塾は、年月を経る中で、学校への不適応や不登校などの事例に接しつつ、徐々に中高生向けのことばの学び舎として、思春期にいるこどもたちの自立を手助ける場として変容していきました。他方、公立学校に通う小学生(第二・七年期)がシュタイナー教育に触れる場として、土曜クラスを開くようになり、現在、空堀と帝塚山で月に一度、石垣で三か月に一度、エポッククラスを開いています。
空堀ことば塾を立ち上げてから、ルビコン(自意識の目覚める時期)のこども(9歳児)を対象に、家づくりをメインテーマとして始めた夏の自然学校(サマースクール)は、家づくりから舞台づくりを経て、広く小学生を対象とする自然での手足をつかった活動の場へと変容し、今年は、サマープログラムとして、こどもと大人がともに学ぶ場として開催しました。
変容(メタモルフォーゼ)は、ゲーテの世界認識に基づくシュタイナー教育では重要な概念ですが、空堀での学びと教育実践も、大きく変容しながら現在に至っています。活動が多岐にわたりますが、教育の軸になるのはやはり、私にとっては「ことば」になります。初心に立ち返り、ことばと新たに向き合う必然性を、今年は強く感じており、ここ数年活動を休止していた、空堀ことば塾の小学生クラスを、この9月から再開するとともに、中高生クラスにおいて、ことばの学びを一歩進めるべく、意識的に関わっています。
小学生のクラスでは、国語を教えています。今は、中学年、高学年のクラスとも、宮沢賢治さんの詩と物語に取り組んでいます。中学生のクラスでは、池田晶子さんの『十四歳の君へ』を、高校生のクラスでは、森鷗外さんの「高瀬舟」を読んだ後、そこに流れる「無常」をめぐって、小林秀雄さんの『無常ということ』のスローリーディングに取り組んでいます。スローリーディングとは、作家との魂の交流であると私は考えているのですが、これらのクラスを通じて、手ごたえをつかみつつあります。
これからは、いままで10年あまりの歳月を振り返り、教育の現場で学んだことを、できるだけわかりやすく、この場で文章にしていきたいと思います。