この男性は、病の影響なのか、肌が荒れ、髪の毛がない。
しかし高学歴の公務員だった。個室に入っていた。
私がこの施設に来た頃、新人は入室しない方がいい、と言われた。
朝、試しに入ってみると「背中を掻いて」「薬を塗って」「体位を変えて」
オムツの中は多量の下痢便、処置している間も、痒い、痛い、嫌だを連発。
朝ごはんも、要らない、食べたくない、食べたいものがない。
朝の薬も「いらん」「いあらん」「いらん」
スタッフはこの人を遠巻きに見ていた。
私は近寄って話しかけた。「大学ではなにを専攻されていたのですか?」
「経済」と即答し、彼はきれいな瞳を私に向けた。
それから彼は、今何時?、朝なの?と聞いてきた。
朝です、朝食が用意されていますが、召し上がりますか?
う~ん、食べてみようかな。
日本人は施設入居者に対し、まず一日の予定を知らせ、紙に書いて告知する
個人的な趣味、趣向、希望は無視する
ベルトコンベアに乗せて、起床、排泄、水分補給、入浴、排せつ、食事と流す。
これに異を唱える者が現れると、めんどくさい奴、吐き捨てられる。
北欧の施設は、個人的にマッサージ師、美容師、更には占い師まで個室に呼ぶことができる。
日本人はプライベートを、見られたら恥ずかしい個人の癖、と考えているが
欧米では権利である。
日本人は、自分に権利があることも知らない。
だから、他人の権利を認めない。
他人と同じように、行動することを求め、従わせようとする。軍隊のようだ。
だから、この利用者が「たこ焼き」が食いたい、と言った時には
とんでもないことだ!とスタッフは怒ったのだ。