味噌は3種類ある。赤、白、赤白の合わせ。
私が頼んだのは白みそのスペシャルバージョン。
最初は白みその甘味がやって来るが、最後はラー油の辛みが混沌と効いて来る。
46年前、この近くに「北京」というラーメン屋があった。
当時、二十歳だった私は、いい気になって通った。
「御常連様」とか「行きつけの店」とか、そんな言葉がとても眩しく
北海道の散村から出て来たばかりの、田舎者を大きくくすぐった。
学校に通いながら、喫茶店でアルバイトをしていたが、店の先輩に
Kというチンピラがいた。Kはリーゼントでひげを生やし、北京に通っては、ツケで
飲み食いを重ねていた。月末になると、北京の女主人が、店に集金に来た。
Kの給与の大半はそこで消えた。
Kはへらへらと、私に「人生」を語り、すっかり先輩としてのさばっていたが
あまりにも私のプライベートに干渉してくるので、その店を辞め、キャバレーボーイに
転向した。そして私は本当に大事な事ばかりキャバレーで学んだ。
それからしばらくして、偶然に街角でKにばったり会った。
Kは相変わらずヘラヘラしていたが、私のまなざしに気がつき、言った。
「お前変わったな・・」
それきり会ってない。縁が切れるとは、こうゆう事だろう、目の前から消えるのだ。
威風はチェーン展開するラーメン屋らしいが、とてもおいしい。
お客さんたちが、帰り際、調理場に向かい大きな声で「ごちそうさん!」と言うので
私も「ごちそうさん!」と声をかけ、そこを出た。

