#幽霊を信じるOR信じない | 京都 coffee bar Pine Book

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日々楽しく生きるにはコツがあります。
まずいちいち反応しない事です。
そしてオセロの4つ角を取る事です。
4つ角とは?
1 健康
2 人間関係
3 趣味
4 仕事
コレが楽しく生きるコツです

信じるも信じないも

見たもん!ボク。

幽霊を信じるor信じない

なんかいる!だれっ?振り返るボク。  

いない。だ、れ、も。

お父ちゃん?お父ちゃん!揺さぶるボク。

なんかいるで。なんかイル。ローカに。 


次の日も夜中にオシッコ。 

我が家は築100年くらいの小汚いが大きなお家でした。庭には夏になると竹藪から蛍がランデブー。絢爛豪華です。瞬く間に竹藪がブルーの暗いライトで照らされているようになります。大きな百日紅が庭を縦断し、春には桜が満開になり。秋には紅葉が真っ赤か。冬にはボタンが。苔の絨毯に大きな庭石が配置されています。灯篭付近での遊びは厳禁。


16畳くらいの部屋に両親とボクが川の字で寝ていました。他の姉妹兄弟達はそれぞれ自室で寝ています。寝る時はいつもボク以外の兄弟姉妹がそれぞれ蚊帳をはり、蚊にさされないようにしなければなりません。

この年、1964年の夏。いつもと変わらない蒸し暑い夜でした。アレが現れたのはオシッコをした帰りのローカ。ローカの突き当たりはピアノが黒光りしていました。



あっまたや、なんかイル!

ピアノに映る長い髪の人。オシッコ帰りのボクが映るピアノ。そのボクの背後に、オトコか?オンナか?わかりません。でもボクの後ろにピッタリと張り付いてついてきます。ピアノに映るボクと知らない髪の長い人。歩いては止まり歩いては止まるボク。振り返るボク。そして誰もいない。ピアノを見るとまだ映っています髪の長い人。なぜか恐怖心は沸いてきません。

次の日早朝、珍しく父が台所にいました。お父ちゃん、お父ちゃん、また見た!髪長い人。ピアノに映ってた。何回もオシッコしたらピアノに映らはるで!

数日後。

お父ちゃん、そんなん開けて寝たら蚊に刺されるやん?開けて寝てもえぇのん?

今日はえぇねん。蚊帳あるし大丈夫や。

いつもは、木の板張りの動きの悪い雨戸を閉めて寝ます。何故かその日に限って開けています。

なんでなん?なんで開けるん?しつこく聞きます。納得いかないから聞くボク。

今日はなぁ、8月15日やろ?帰ってきやはるねん。  

誰れがー?誰がきやはるの?

よーねーこ。米子。米子が帰ってきやはるんや!

よねこ?誰れ?聞いた事ないし?よねこて? 


お父ちゃん、カレー美味しいな。ボクカレーが大好き。お父ちゃん?帰ってきやはったか?昨日、ボク寝てる時にぃ。

あー帰って来たで。 

へー帰ってきやはったんか。米子さん。なんか言うたはったか?

言うてたでー。

なんて言うたはったぁ、お母ちゃんおかわり!

ありがとう、兄ちゃんって。

ふーん。ありがとうかぁ。言うてはったんか、ありがとう〜て。何がありがとうなん?


実はボクが見た見た見た!と騒いでた頃、大好きなお兄ちゃんが二階の女中部屋で寝てはって、自分の寝てるお腹の上に揺りかごのような椅子に乗った髪の長い女の人がお兄ちゃんの顔に長い髪が触りお兄ちゃんは起きたそうです。けど、金縛りで目が、目だけが、かっ!と見開いて見たくないのに目をつむる事が出来なくて非常に怖かったと、父、保三に報告したそうです。

しばらくして、お抱えの大工さん柴田さんが祇園町に住んでるオジカソースの従兄弟、松本精肉店の松本善次郎(父親、松本保三の実兄)より派遣されてピアノの床を捲りあげ下の土を掘り起こしたそうです。土の中からリンゴ箱が。 

リンゴ箱の中には沢山の教科書とノートがビッシリ詰まっていました。ノートには名前が書いてありました。     松本米子 と。

我が家は禅宗です。南禅寺住職にお祓いしてもらい、寺で供養法要兼ねて全て燃やし祈念したそうです。

それからは、1度も会う事ができません。米子さんに。

ボク7歳、お兄ちゃん19歳の夏でした。


見たもん。





 

 

 

 

 

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