次生が東山中学に通う頃、近くの国道に押しボタン式信号機が設置された。
押しボタン式信号機の歴史は古く、昭和9年東京蒲田国道1号線で設置されたらしい
7番目の子供として昭和32年この京都東山の地に誕生し早66年が過ぎようとしている。
昨日、久しぶりに河原町通りにある押しボタン式信号機のボタンを押した。
中々信号機は青にならない。
ふと辺りに目をやると、行き交う車を運転している人達を見ていると不思議な感覚を覚えたのだ。
押しボタン式信号機のボタンを押した事により横断歩道の手前で、全車両が停止した。当たり前であるが。
次生は横断歩道を渡りながら停止している車両に目をやった。
タバコを吸ってる人がいた。携帯電話の画面を見つめる人がいた。楽しそうに話ししている人たち。欠伸をしている人。
横断歩道を渡りながら思った。
もう、二度と会うこともない人達。名前も知らない人たち。
車を止めた事によってなんらかの変化を起こした、と思えた。
人は生きている限り意識しているしていないに関わらず、少なからず他人に影響を及ぼしているのである。
出来れば良い影響を与えたいものだと思って横断歩道を渡った。