母の潔子の死を元旦に、父康三から電話で告げられて次生はあっけないな、と思った。
人の寿命の不可思議さ。
日航123便の痛ましい事故。あの航空機事故でも4名が助かった。この4名の方は本当に奇跡としか言いようがない。
次生は潔子の顔面の癌細胞が消えた時、医師から奇跡であると告げられた。
あれだけ日赤病院で毎日毎日励まし会って親子は癌に勝った。
癌での死は免れる事はできた。
しかし、やはり、喉元過ぎればである。
また、潔子は以前の潔子に戻っていた。
そしてまさかの死の宣告である。
今、母潔子のあっけない幕切れに、もうこれは人知を超えた法則による終焉であると思わざる負えない。歴然と法則はある。
人は自分で生きているように思っているが、傲慢である。しかし人はある法則に則って生かされているのだ。
感激、感謝を忘れて、また宿命のまま生きていけば、召喚という死が待っている。
寝ているようであった。
潔子の頬はサクラの花びらのような色であった。