退院した潔子は入院中よく五条の自宅には帰りたくないと、次生に言っていた。
潔子も退院出来ると思ったのであろう。
それだけ体調も良くなってきたのを自覚していた。
次生は妻ミチコにこのように説明していた。
あんな、おかあちゃんな治らはるわ。
それで、多分五条の自宅には帰ら
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あらへんわ。
ここに住みたいと思うし、この和室空けよか。
頷くミチコ。
次生とミチコと長女このみが住むこのマンションに潔子と住んで行くとは!
運命とは摩訶不思議である。
次生とミチコの結婚式を、あれ程訳の分からない理由で欠席不参加した潔子。
次生と吉弘が頭を下げて結婚式に出席するように懇願したのに冷徹に拒否をした潔子。
康三を敵に見立てて、頭のオカシイ虚言癖の4女に誑かされタッグを組んで、頭の弱い精神薄弱な二男を使用人に仕立てて、次生を松本法律事務所から退所させるよう策謀した潔子。
妻ミチコとしてはこのような行為を繰り返した次生の母潔子に対し良き感情が起こるわけがない。
しかし、ミチコは耐えた。
完璧に。
自らの感情を封印したのだ。
段々と顔面の腫瘍が小さくなる潔子の治療経過をみていたミチコは「治らはる!」と確信していた。
日赤病院で潔子の着替えの下着やタオル類、前開きの寝間着など洗濯物は多く大変であったに違いない。
自宅マンションが近いのが幸いした。
文句一つ次生は聞いた事がなかった。
退院後、潔子は新婚家庭のマンションに着の身着のままで来たのだ。
次生の長女このみは、突然現れた老婆に驚いたことであろう。部屋の片隅で静かにパズルをしていた。
マンション3LDKが突然に病室化したのであった。
とにかく次生は一つ一つ問題を解決していった。
ここに又又現れてくるのである。康三と二男が・・・