38 小説 裁判官の子として生まれたキミ | 京都 coffee bar Pine Book

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日々楽しく生きるにはコツがあります。
まずいちいち反応しない事です。
そしてオセロの4つ角を取る事です。
4つ角とは?
1 健康
2 人間関係
3 趣味
4 仕事
コレが楽しく生きるコツです

康三は裁判官を退官した後、京都産業大学法学部教授として教鞭する傍ら、本職の弁護士事務所設立に動き始めた。


大学事務員の由紀子は事務処理を任されていた。

蝉時雨も終わりを告げたある日の午後、1人の学生が事務の受け付けに札幌オリンピックのアルバイトの件で尋ねてきたのである。


あの?スイマセーン?


はい?


掲示板にあるアルバイトの件できました。 

 

明らかに訛りがある話し方に応対した由紀子は京都の人ではない!と思った。


なにか?


はい、僕は外国語学部の加瀬厚といいます。


はい。で何か?


僕、実家が北海道でして来年卒業したら帰郷して札幌で就職しようと思ってましてー。


あっ?就職活動ね?

 

では、あちらの学生課に〜!


あの〜違ぅんです、札幌オリンピックの外国人通訳のアルバイトをオリンピック期間中のー。



はい、はい?あの〜加瀬?さんですね?加瀬さん?通訳のアルバイトといってもこの札幌オリンピックの通訳のアルバイトは非常に厳しい面接がある、と聞いております。

アルバイト料としては破格の料金がいただけますがぁー?  

加瀬さん?英語を外国人の選手と普通に英会話が出来るのが大学としましては最低の基準です。

まず、大学内で外国人英語教授の会話の面接を受けていただいてからの申し込みとなっております。


はい、知っています!その構内英会話試験を申し込みにきました。


あ〜そうですか〜?



この人、訛りある日本語やし〜?英語も訛りあって外国人選手に通じひんのとちゃうやろか?

と、由紀子は加瀬くんを心の中で面接していた。由紀子の面接では、落第であった。


では、今から資料一式持って来ますのでお待ちください。


加瀬は事務所前にある長いベンチの真ん中に卒業論文の資料を片手に座っていた。


いっこちゃん?いっこちゃーーーん?


吉弘が事務所に妹の由紀子を尋ねて来たのである。


親しげに話している兄と妹。


兄ちゃん、ちょっと待ってて、今な札幌オリンピックのアルバイトの資料取り揃えてるし。


えっ?あのバイト行く奴いるの?


由紀子は長椅子に座っている加瀬の方に目をやった。あの人やん。アルバイトしたいて。


振り向いた吉弘。

長椅子に座って卒業論文に目を通している加瀬。


吉弘は、気付いた!  加瀬ーーーー。

加瀬やないかい!


あ〜松本くん!  久しぶり!


えっ加瀬、お前、札幌オリンピック通訳するん?


いやまだ、たくさん面接あるみたいやし、わかりませんよ、アルバイトできるかどうかは。


加瀬と吉弘は京都産業大学外国語学部の英文科で年が違うが同級生なんである。


松本くん?


なんや?加瀬。


松本くんは就職どうするのですか? 


加瀬は吉弘が2歳年上と何故か噂で聞いていた。加瀬は吉弘に敬語で話していた。


あ、僕は教師や、教師になって最終的には学校作ってみたいねん。


学校ですか?学校を造る。


せや、学校造るのが夢です。

最初は英語のセンセ〜からやな。まず。


加瀬さーん!


はい〜!


加瀬さん、少々重いですがこれが札幌オリンピック通訳のアルバイト説明書一式になります。

まず、この資料に目を通していただいて、1番上の履歴書に全て記入してください。

書けましたら事務所までお持ちください。

それから、追って産業大学の外国人教授との英会話面談があります。

それを通過しますと、本面談の前に、大阪で関西の他大学から集まった学生が面接に来られます。それに通過してから本面接が東京であります。はい!


分厚い資料を由紀子は加瀬に渡した。


ありがとうございます。

また、資料見て記入して持ってきますのでよろしくお願いいたします。


あの〜、事務員さん?


はい?何か?


いや、いいです、別に。


加瀬は先程、親しげに話ししていた松本くんとの関係を気になっていたのであった。


長椅子で待つ吉弘に、こんなに分厚い資料です、松本くん!


うわっコレは大変やな!加瀬頑張ってな! 


ほなら、サイな、


松本くんっ!


なんやねん、サイナラ言うてる最中に〜?


あの、松本くん?


受け付けの事務員さんね、親しげやね?


親しげて、加瀬、当たり前田のクラッカーやないかい!


えっ?当たり前田て?前田さん?


知らんのかいな〜?あれは僕の妹の由紀子やないかいっ。


えっえっえ〜?


い!も!ぅ!と? さん、ですかーーーー。


驚き桃の木山椒の木であった、加瀬厚。


でーこれがまたまた大変な問題に発展して行くのであった・・・