皆さま。お幾つどす?
VANはご存知?KENTは?
世はアイビーからニュートラそして、サーファーへと移り変わった昭和48年頃。
場所は三条河原町にあるファッションビルBAL。
そーです、バルビルです。
京都のファッションリーダー達が戯れるバルビル。ガキンチョは入店出来ません。風格があるのです。BALビルは。
な〜な〜てぇ。ツギオー?
なんや?伊藤?
アレな、どない思う?
アレて?
アレや、あのド派手なシャツやん?
なんや!あのシャツ?
ビカビカのピンク色のフラダンスしてる人が踊ってます。横には火がついた棒とともに天を仰いでる日に焼けすぎている人々が。
あー見た事あるで、あのシャツ。
そうです、東映のドル箱映画、若大将シリーズの「ハワイの若大将」で加山雄三がウクレレ片手に着ていたシャツやないですか?
ボク達はVANファッション。
けど、なんか、あいつチンピラみたいやな?
せやな、露店でたこ焼き売っとるんちゃうか?
って半ば弄りながらもカッチョイイかもって思うボクがBALビル前の横断歩道の柵に座りながら見ていました。
はいろか、BAL。
伊藤と2人新しいファッションを仕入れにビル内へ。
1階2階3階。おい、伊藤!
なんや〜?
見てみ?KENT?
見るとKENT店内に飾ってあるビカビカシャツ。
あれ!買うで〜。
当時、ファッションブランドKENTは、VANのアイビールックがガキンチョファッションに成り下がり粋なお兄さん達は、KENTファッション所謂、ニュートラディショナル、ニュートラにと流れ始めていました。
すいませんー。コレちょっと着せてくれへん?
背が低いボクです、けど偉そうです。
コチラへどーぞ。
ド派手なシャツを着てみるボク。
あれっ。この絵柄?見たことある!
伊藤、でや?似合うやろ。
ツギオなー、これなー。色違いちゃうか?さっきのたこ焼き屋と?
です、です、ボクもそんな予感がしています。
そーかぁ?けど俺が着たらたこ焼き屋に見えるか?
見えん、見えん。
せやろーせやろー。
けど、なんかなんかおかしい?
せや!ズボンが合わんな。
アイビーの細いマンボパンツは似合わないのです。
あのーなんか、おかしくない?
店員に偉そうに聞くボク。
コチラのパンツがお似合いかと。
どんなん?ちょっと履かして〜な。
見るとそのパンツは、ズボンの裾が開いていて見たことがないスタイルパンツです。
なんか、長いな〜。
大丈夫ですよー。カットしますから。無料で。
あ〜切ってくれるん裾、無料なん?えーやん無料。
次の週、BALのKENTに裾上げしたファーラーの素敵な裾が開きぎみのフレアーパンツを取りに行きました。
履いて見られます?
ボクに尋ねる店員。
かまへんかまへん。包んで。軽く偉そうです。高いズボンですから。
早速、履きました。部屋で。
アレっ?あれ?なんか、おかしい?
裾が裾が開いてない?
裾がズボンの裾がまっすぐ。
開いてないで、ファーラーのズボンが。
アーあ〜そうかぁー。
ボク、背が低いからーーーー。
そうです。ファーラーの超カッチョイイ裾の開き部分をカットしやがりました。店員。
ため息まじりにファーラーを履くボク。
BALのKENTには、決して履いて行きませんでした。
サンキュ