読書感想です。
私は戦記モノが好きで、色々読んでいるのですが、
最近の好みは潜水艦です。
特に今は、旧日本海軍の潜水艦。
昔はドイツのUボートの本もたくさん読んでましたけどね。
深海の使者
著:吉村 昭
著:吉村 昭
日本とドイツの間を往復した日本潜水艦の話を中心に、
日本とドイツの間の行き来全般についても触れているドキュメンタリーです。
日本からだと、東南アジアを経由して、インド洋、そしてアフリカ大陸の沖をぐるっと回って、
大西洋に入り、北上して、ドイツ占領下のフランスの港までの航海です。
日本とドイツの間は、色々な方法が試されましたが、最後は日本の長大な航続力を持つ潜水艦しかなく、
これを使って、人の交換や技術物資の引渡しが行われました。
全部で4~5回行われたようですが、完全に成功したのは1回だけ。
他は途中で行方不明になったり撃沈されました。
敵の勢力下を進む為、ほとんど潜航しなければならず、
乗員の苦労は並大抵ではなかったようです。
それこそ、モヤシのようになってしまうと。
面白かったのが、イタリアによる長距離飛行の話。
日本とドイツとイタリアは三国同盟を結んで、互いに協力していましたが、
イタリアは軍隊が弱く、いつも日本とドイツにおんぶに抱っこでした。
そこでイタリアは名誉回復のため、イタリア軍が持つ自慢の長距離飛行機を使い、
イタリア→日本の飛行を決行します。
しかし、さすがに飛行距離がギリギリで、ソ連領を通過するコースを予定していました。
ところが日本は、ソ連とは不可侵条約を結んでいる仲でしたので、(その頃、ドイツとイタリアはソ連と戦争中)
ソ連を刺激するような、ソ連領の領空侵犯を認めるわけにはいきません。
絶対に認めないとイタリアに通告したにも関わらず、イタリアはそれを無視し、
勝手に日本に飛んできた上に、日本側が歓迎してくれないことに逆切れしたんだとか。
一方、ドイツでも似た様な飛行計画が持ち上がったのですが、
やはり日本からソ連領通過を拒否されると、
ドイツは日本との約束を守り、諦めました。
よく、日本人はドイツ人とはウマが合うが、イタリア人とは合わないと言いますが、
両国の気質の違いが面白いですね!